ショック・ドクトリン〈上〉―惨事便乗型資本主義の正体を暴く

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  • サイズ B6判/ページ数 345,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000234931
  • NDC分類 332.53
  • Cコード C0033

出版社内容情報

戦争や自然災害,政変などの危機につけこんで,あるいはそれを意識的に招いて,過激な市場主義経済改革を強行する.この「ショック療法」は世界に何をもたらしたか.世界中から絶賛の声が集まった衝撃のベストセラー,ついに登場.3.11 以後の日本を考えるためにも必読の書.

《目 次》
序 章 ブランク・イズ・ビューティフル─三〇年にわたる消去作業と世界の改変

第一部 二人のショック博士―研究と開発
第1章 拷問実験室―ユーイン・キャメロン博士、CIA、そして人間の心を消去し、作り変えるための狂気の探究
第2章 もう一人のショック博士―ミルトン・フリードマンと自由放任実験室の探究

第二部 最初の実験―生みの苦しみ
第3章 ショック状態に投げ込まれた国々―流血の反革命
第4章 徹底的な浄化―効果を上げる国家テロ
第5章 「まったく無関係」―イデオロギーから切り離された罪

第三部 民主主義を生き延びる―法律で作られた爆弾
第6章 戦争に救われた鉄の女―サッチャリズムに利用された敵たち
第7章 新しいショック療法―独裁政権に取って代わった経済戦争
第8章 危機こそ絶好の機会―ショック療法の売り込み

第四部 ロスト・イン・トランジッション―私たちが泣き、震え、踊っている間に
第9章 歴史の流れに門戸を閉じて―ポーランドの危機、中国の虐殺
第10章 鎖につながれた民主主義―南アフリカの締めつけられた自由
第11章 若き民主主義のかがり火―「ピノチェト・オプション」を手本としたロシア
第12章 資本主義者たる証あかし─ロシア問題と粗暴なる市場の幕開け
第13章 拱手傍観─アジア略奪と「第二のベルリンの壁崩壊」

第五部 ショックにふるえる日々─惨事便乗型資本主義複合体の台頭
第14章 アメリカ合衆国におけるショック療法─国家安全保障のバブル景気
第15章 コーポラティズム国家─裏口なし、企業と政府を直接通路で結ぶ

第六部 原点回帰─イラクへの過剰ショック攻撃
第16章 イラク消去─破壊の跡に中東の〝モデル国家〟を建設する
第17章 イデオロギーの逆襲─資本主義者が招いた泥沼化
第18章 原点回帰─空洞国家から焦土へ

第七部 可動式グリーンゾーン─緩衝地帯と防御壁
第19章 海辺を一掃する─アジアを襲った「第二の津波」
第20章 災害アパルトヘイト─グリーンゾーンとレッドゾーンに分断された社会
第21章 平和にはうまみがない―イスラエルという警告

終章 ショックから目覚める─民衆の手による再建へ

(章題の訳文は編集途中のものです.なお上巻は第四部までを予定しております)

ナオミ・クライン(Naomi Klein)
1970 年,カナダ生まれのジャーナリスト,作家,活動家.デビュー作『ブランドなんか,いらない』が世界的ベストセラーとなり,一躍,反グローバリゼーションの語り部となる.第2 作目の『貧困と不正を生む資本主義を潰せ』を著したあと,アメリカによるイラク侵攻と占領の現実,戦後の「復興」に群がるグローバル企業に注目し,2004 年に現地を取材したことが,3 作目の本作につながる.『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』『ネーション』など,さまざまな媒体で記事を発表している.トロント在住.


*下巻はこちら

内容説明

本書は、アメリカの自由市場主義がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済改革を強行する…。ショック・ドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場至上主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。

目次

ブランク・イズ・ビューティフル―三〇年にわたる消去作業と世界の改変
第1部 ふたりのショック博士―研究と開発(ショック博士の拷問実験室―ユーイン・キャメロン、CIA、そして人間の心を消去し、作り変えるための狂気じみた探究;もう一人のショック博士―ミルトン・フリードマンと自由放任実験室の探究)
第2部 最初の実験―産みの苦しみ(ショック状態に投げ込まれた国々―流血の反革命;徹底的な浄化―効果を上げる国家テロ;「まったく無関係」―罪を逃れたイデオローグたち)
第3部 民主主義を生き延びる―法律で作られた爆弾(戦争に救われた鉄の女―サッチャリズムに役立った敵たち;新しいショック博士―独裁政権に取って代わった経済戦争;危機こそ絶好のチャンス―パッケージ化されるショック療法)
第4部 ロスト・イン・トランジション―移行期の混乱に乗じて(「歴史は終わった」のか?―ポーランドの危機、中国の虐殺;鎖につながれた民主主義の誕生―南アフリカの束縛された自由;燃え尽きた幼き民主主義の火―「ピノチェト・オプション」を選択したロシア)

著者等紹介

クライン,ナオミ[クライン,ナオミ][Klein,Naomi]
1970年、カナダ生まれのジャーナリスト、作家、活動家。デビュー作『ブランドなんか、いらない』が世界的ベストセラーとなり、一躍、反グローバリゼーションの語り部となる。『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』『ネーション』など、さまざまな媒体で記事を発表している。トロント在住

幾島幸子[イクシマサチコ]
翻訳家

村上由見子[ムラカミユミコ]
著述家(表象文化、エスニック研究)。慶應義塾大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロア

28
こ、これは……。「実録ホラー」「本当にあった怖い話」ですよ。このあと下巻ではどうなっていくんだろう。怖いよう…(;´・ω・)というか、この時点でもうまったく他国のこととは思えないんですけど。これ、日本でも普通にもう実施されちゃってますけど。。。2022/03/27

幸猪

23
【暴かれた惨事便乗型資本主義の正体】 政治混乱の中 経済危機に見舞われた国では、IMFから莫大な融資をしてもらう見返りとして、①民営化の促進 ②財政支出の削減 ③貿易の自由化 ④資金循環に対する規制撤廃...等があげられている。つまりこれ等は価値ある国家資産をほぼ全て略奪されるに等しい事。主に1970年代〜2000年代にかけてアメリカのシカゴ学派の権威ある経済学者達が新興国に対して行った 経済的ジェノサイドだ。と著者のナオミ・クラインは言う。2021/04/13

壱萬弐仟縁

20
3.11原発事故の場合も、惨事便乗経済行動は確かにあった。立ち入り禁止区域へ泥棒に入る者もいたからである。正常な判断ができない精神状況のときを狙って、権力や金儲けが被災者を食い物にするというようなケース。人間失格ではなかろうか。洗脳された精神状況に付け入って、ひどい話だ。「ショック療法」とか、カンフル剤というが、あまりに社会経済に対する衝撃が大きすぎる。当然人間生活にも大きな影響が及ぶ。意図的に引き起こすなら、悪意のある誘導で市民はたまったものではない。世銀・IMFの構造調整、M.フリードマンも酷い。2012/10/27

ロビン

18
カナダ生まれのジャーナリストが、ミルトン・フリードマンを旗頭とする新自由主義経済学者「シカゴ・ボーイズ」によって世界各地で行われた惨事便乗型資本主義について暴いた衝撃の書。堤未果さんの書籍や南米の関連本でも民営化や市場開放の危険、IMFやCIAのあくどさについては学んでいたので、その元本に触れた思いだが、それにしても恐ろしい内容だ。根本問題は人間の強欲であって、共産主義や資本主義というイデオロギーではないのだ。資本主義も共産主義と同じように腐敗しているのだ。経済に無関心ではいけないと痛感させられた。2023/06/16

ででちゃん

18
そこそこ自明のことを或る程度詳述することで警鐘を鳴らす。 誰もが、 知っているけど、諦めている事。 大き過ぎる力には敵わない。2014/07/19

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