内容説明
墨塗りの男が、仮面の動物たちが、誇らしげなカーニヴァル・クイーンが、大音響のミュージックが、一瞬にして日常の町をカーニヴァルの国へと変えてしまう。カリブの島々にはいまも豊かな祝祭が息づいている。幼い日の恐れと憧れを胸に帰郷したエドウィージがパレードに身を投じて夢中で踊った日、それはまた自分を取り戻した日でもあった。米国でもっとも注目されるハイチ出身の新進作家の、詩情あふれる帰郷ノート。
著者等紹介
ダンティカ,エドウィージ[ダンティカ,エドウィージ][Danticat,Edwidge]
1969年ハイチに生まれる。12歳のとき、先に移住していた両親のいるニューヨークへ移る。幼いときから物語を書きたいという願望をもち、1994年、修士論文として書いた小説『息吹、まなざし、記憶』が高く評価されて、本格的に作家の道を歩みはじめる。少女時代の記憶に光をあてながら、歴史に翻弄されるハイチの人びとの暮らしや、過酷な条件のもとで生き抜く女たちの心理を、リリカルで、静謐な文体で描き出し、デビュー当時から大きな注目を集める。その作品の底には、祖母たちから夜ごと語り聞かされた、クレオールの豊かな物語世界が息づいている。1991年に出された『クリック?クラック!』は全米図書賞の最終候補にあげられたほか、発表する作品がつぎつぎと文学賞を受賞し、幅広い読者層に迎えられている
くぼたのぞみ[クボタノゾミ]
翻訳家・詩人。北海道生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業
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