感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Oezy_k
3
多くのデータや実証研究を参照してここ20年くらいの日本経済に関する議論をまとめたもの。僕自身はここで参照されている研究結果のまとめかたや判断の下し方が正しいのかどうかわからないが、こうした問題について語る際の議論の土台となる良書であると感じた。また、本書の面白いところは、終章において拡張されたエッジワースボックスモデルを用いて、市場システムを機能させるものとして経済政策自体を意味付けその必要性を説いている点である。2011/10/25
メルセ・ひすい
3
13-81 赤20 なぜ日本は立ち直れないか。人をいじめ抜いた国・企業の責任である。人の「生き甲斐・働き甲斐」を増進させるためには、雇用を確保し満足な仕事が得られるよにし、失業率をできるだけ低位に抑え込み、★完全雇用を達成するような政策運営が第一だ。???? 変! あたりまえ… そのためにはどうすればいいの?そこが言えれば即 総理です。でも、上記のことは当たり前です。どうすればいいかが問われています。 ★藤原書店・第四回川上肇賞受賞『我が国の経済政策はどこに向かうのか――「失われた10年」以降の日本経済』2010/05/05
壱萬弐仟縁
2
シンクタンクに無尽蔵のように存在する大量のデータから選りすぐってデータを加工され、一般人にはちょっと敷居が高い感じのマクロ経済データが盛りだくさんである。評者からすれば、2009年のリーマンショックで日本の派遣社員が失業して、受け皿がなく、寒風吹きすさぶ12月に路上生活を余儀なくされたことの方が問題に思える。デフレの原因は「流動性の罠」でインフレ期待に作用させる金融政策ができなかったこと(223ページ)。日銀の責任は大。「陰鬱な未来」はカーライル「陰鬱な経済学」(dismal economics)を想起。2012/10/05
pudonsha
1
本書はリフレ政策に肯定的なのでそう見えるのかもしれないが、構造改革派は金融緩和の効果を否定したいがために、無理やりなロジックを持ち込んで反論しているように思えてならない。2015/05/06
55くまごろう
1
日本の経済低迷の元凶といえる長期デフレを招いた、経済政策の誤りについて、豊富なデータをもとに立証を試みている書。著者はいわゆるリフレ派の立場だが、事実をベースとした議論には力強さがある。巷の経済政策の議論には、経済学の視点からは驚きを隠せないような乱暴なものが多くある中、本書の主張に対して、反対派(いわゆる増税派)はどのような論拠で反論できるだろうか。過去の財政政策、日銀の金融政策には誤謬は無かったのか?イデオロギーを離れた客観的でオープンな議論が必要だ。 2012/01/20