内容説明
もっと早く知りたかった!!理論を土台に創造する、もうひとつの建築との関わり方。構造設計の世界へようこそ。
目次
合理性だけでは成り立たない、構造の世界
木構造の追求―歴史・地域・思想・技術をつなぐ
手計算とコンピューターで、「形」に骨を通す
形を決める仕事、形が変わる働き方・家族
故郷で構造設計を仕事にする―地元の仕事から海外プロジェクト、そしてこれからの被災地復興
海外に日本の構造設計を輸出する
成長する構造設計事務所―年齢も事情も異なる人たちが高度な仕事を続ける場所
意匠から構造設計へ―より自分らしい建築との関わり方
アトリエ構造設計事務所のすすめ―技術を軸に自立した人生を選択する
新しい構造設計事務所のかたちをつくる
構造設計を学び続ける楽しさ
すごろく的巡り―偶発的機会でつながるよこ道・わき道からの構造
構造デザインの実践と教育の両立
ローカルエンジニアリングと構造デザインの挑戦
世界共通言語としての構造設計を武器に
良い建築は綺麗な骨組みでできている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
8
意匠設計と協働しながら美しい建築をかたちにする構造設計家。若手中堅の16人が構造設計を志すまでと独立してからの仕事について語る一冊です。意匠設計や他分野からの転身、独立後海外進出する人や地方に拠点をおく人、組織運営とWLB、後進の育成まで、多様なキャリアパスの在り方はとくに建築学生さんには参考になりそうです。本書でも指摘されていましたが、欧米とは異なり歴史意匠と構造を統一的に教育する日本の建築学科のシステムは、今後この分野における強みになるような気がしました。2020/01/26
クウ
1
「建築学科へようこそ」の建築構造バージョンだなと思った。一人一人の体験談を構造の魅力と語りながら読み進めていくような。感覚の良い人は作中にでてくる力学の考え方などがわかって、「構造家とはこういう仕事か!」と納得できると思う(少なくとも2,3年前の自分には無理)。各々、5-10年の修行時代を経て構造家となっている。あとはアトリエ系のような事務所を運営しているからといって、ワークライフバランスがめちゃくちゃになっているわけではなく、全員が一日8時間程度で週休を2日しっかり取ろうとしている姿勢には驚いた。2021/07/19
住宅屋
0
建物を設計する場合、現在では住宅程度の小規模な建物であっても構造を専門とする設計者の存在が重要となってくる。しかし、構造設計者・構造家の生態は謎に包まれている部分が大きい。「この建物は◯◯の設計だ」と言われる場合。意匠設計の方の設計者を指すことが多く、構造の方を確認するのは、業界の人間かよほどのマニアだろう。そんな構造の専門家の生態を垣間見ることのできる貴重な本である。2024/02/19