出版社内容情報
みずから非常時共産党を組織化、銀行ギャングまでやってのけた特高スパイMの行動と心理を分析、"小説よりも奇なる"ドキュメント
内容説明
党の資金・組織を一手に握る最高幹部として戦前の非常時共産党を指揮、あえて大森銀行ギャング事件までやってのけた特高スパイMの複雑な心理構造を分析した異色のドキュメント。日本共産党の歴史的文献として、また、“スパイ”の人間研究レポートとして出色の作品。
目次
第1章 最後の賭け―熱海事件と非常時共産党の壊滅
第2章 モスクワへの道―生い立ちからクードベ留学まで
第3章 転回点―武装共産党時代
第4章 背信と謀略―非常時共産党の再建と躍進
第5章 闇の帝王―銀行ギャング事件
第6章 転生―熱海事件以後、死まで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
2
戦前の日本で共産党は非合法だったが、有力党員で公安警察に転んだスパイがいた。スパイMは能力と実力を買われて幹部になり党の資金と活動を牛耳るようになる。党幹部の集会情報を公安に流して一斉検挙で党は完全に崩壊するがスパイMは姿を消した。 彼の人柄と生涯を取材したノンフィクション。冒頭シーンがとても印象的だ。亡くなった彼の遺体を火葬しようとするが戸籍がないということで断られ困惑する家族たち。しかし、資金調達に美人局・エロ写真・銀行強盗ねえ……2013/03/17
k.m.joe
1
世の中知らないことが多すぎる。サスペンフルでヒューマニティーに溢れる。2009/02/01
shiaruvy
0
コメント予定
月光密造者
0
これは興味深い。共産党創世期の裏側を、生々しい証言とともに覗くことができる。2010/11/01
あやべ
0
何度か読み返しているが、歳を重ねるにつれて現代のありがたさを思う。悪いことは時代に限らず悪いのだが、やはりその時代の価値観とか雰囲気に負ける、巻き込まれることはあって、人間は弱いものであることを否定せずに生きていきたい。2023/01/13