かばん

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  • サイズ 46判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784915730276
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

内容説明

なんでまたこんなところに紛れ込んじゃったんだ。アメリカに亡命する際に、ソ連から持って出た思い出の品々。そして、それらにまつわる、滑稽で痛切なエピソードの数々―。作家自身が最も愛した作品の本邦初訳。

著者等紹介

ペトロフ=守屋愛[ペトロフモリヤアイ]
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程に在籍。専門は現代ロシア文学・文化。慶応義塾大学非常勤講師。共訳書に、ワイリ、ゲニス『亡命ロシア料理』(未知谷)、『イリヤ・カバコフの芸術』(五柳書院)。また『世界×現在×文学 作家ファイル』(国書刊行会)の中でドヴラートフに関する執筆を担当
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobuko Hashimoto

19
「関西ウーマン」の書評連載で取り上げました。たしか小説は初めてです。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201509 さらっとクスッと読めて、郷愁を感じる連作短編集です。特に「フェルナン・レジェのジャンパー」にはジーンときました。ドヴラートフはソ連ではほとんど出版させてもらえなかったのですが、ペレストロイカ以降、人気急上昇、いまや「現代の古典」とまで言われているそうです。残念ながらご本人は早くに亡くなられました。昨年は映画にもなりました。観たいなあ。 2019/03/09

ぱせり

10
ドヴラートフが故国ソ連を出国するときに持って出たのはスーツケース一つだけ。そこから現れた物たちは物にすぎない、でも、物は、人のぬくもりと声とをとどめる。作者の魂のありかを示す。故国と人びとへの愛、慈しみが、このでたらめでいい加減な日々と、物(作者以外の人にはきっとガラクタ)たちの間から、浮かび上がる。 2014/10/02

shishi

4
[A]本書でユーモアを混じえながら軽妙に語られるソ連での過去には、不条理に満ちていながらも日々の繰り返しのなかで知らぬ間に築かれていた生活の手触りがあって、亡命文学と呼ばれながらも(確かに紛れもない亡命文学なのだが)、人間の毎日を繰り返し生きる悲哀とおかしさをドヴラートフは身一つペン一つで謳い上げていた。 2014/04/21

nightowl

2
著者の自伝風フィクションといえば、自分にとって久世光彦が第一人者である。あの異界を見せてくれる文章...対してこちらは同じ自伝風フィクションでもチェーホフなどに代表される空惚けたロシア文学。読み終わればどんな話だったか忘れてしまうのに、くすりと笑える作品群。写真を見るととてもダンディ。それで一人称は"ぼく"なのだから尚更。そしていつものようにとにかく酒!ほっこりする北国の文学作品を読みたければ是非。2020/12/10

Rick‘s cafe

1
何か大きな事件が起こるわけでもない、ロシア文学っぽい陰鬱とした空気が流れているわけでもない。亡命した先のアメリカで、ソ連という国家に対する恨みではなく、ソ連という祖国での虚実入り混じったささやかな暮らし、珍事、想い出を「かばん」いっぱいに詰め込んで、飄々と懐古していく。 語る人、ドヴラートフの世界はどこまでも淡々と優しい。

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