内容説明
古代ギリシャ以来、女性は男性の裏返しとして、ワンセックスモデルで語られていた。ルネサンス・科学革命期を迎え、ペニスの相同器官としてクリトリスが発見されても、このワンセックスモデルは生き延びた。大転換が起こったのは、「自由・平等・友愛」が叫ばれていた十八世紀以降のこと。二つの「セックス」は絶対的なものとされ、攻める男と待つ女の役割モデルが固定されていった。女性の性感をめぐるフロイトのクリトリス性愛からヴァギナ性愛への成熟説は、この傾向の真打ちともいうべき学説だった。
目次
第1章 言語と身体―一八世紀の性差観の大転換
第2章 定めは身体組織に―ガレノス以来のワンセックス・モデル
第3章 新しい科学、一つの身体―クリトリスの発見
第4章 性の表現―メタファーの伝統
第5章 二つのセックスの発見―絶対的な性差の誕生
第6章 社会化された性―身体をめぐる権力闘争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
10
近代まで、人間の身体は一つのセックスしかないと考えられていた。例えば、アリストテレスは、女性と少年は似たようなものだと考え、それらは「劣った男性」の身体をもっていると考えていた。こうしたワンセックス・モデルにおいては、膣はペニスが裏返って体内に入ったものであり、卵巣は睾丸が位置を変えたものであると考えられていた。つまり、膣やヴァギナな卵巣という近代的な器官は存在せず、それらすべては男性の器官と同じものだと考えられていた。→2022/02/05
毒モナカジャンボ
2
面白すぎる2020/10/01
xxx
1
ジェンダーが社会的な性差、セックスは生物学的な性であり、セックスは男女2つで不変だと考えている。しかしこの本を読むと、古代のワンセックスモデルから19世紀のツーセックスモデルまで、セックスも社会的な要請を受けていたことがわかる。性転換の問題、当時の同性愛的行為の医学的な見方なども書かれており興味深い。 今、我々が無条件で信じてしまう医学、科学なども何らかの社会的イデオロギーの影響を受けているのだろうか、と考えてしまう。2018/12/20