この子を残して

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784822805067
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0036

出版社内容情報

原爆を被け2児を残して、死に臨むカトリック教徒・永井隆――敗戦後60年のいま、戦争と平和、原爆投下を問う! 復刻出版。

内容説明

原爆を被け2児を残して、死に臨む永井隆―。敗戦後60年のいま戦争と平和、原爆投下を問う。

目次

この子を残して
摂理
遺産
父母
孤児
微笑
真実
第一のおきて
空の鳥
神の力と人の力〔ほか〕

著者等紹介

永井隆[ナガイタカシ]
1908年(明治41年)島根県松江市に生まれる。1930年(昭和5年)短歌会「アララギ」に入会。1932年(昭和7年)長崎医科大学卒業。1934年(昭和9年)カトリックに改宗。後、軍医として2回従軍。1945年6月(昭和20年)慢性骨髄性白血病発病。1945年8月9日(昭和20年)長崎市の原子爆弾投下により、長崎医科大学付属病院にて被爆。右側頭動脈切断で重傷。1946年(昭和21年)『長崎の鐘』脱稿。その後、著書多数。吉田茂内閣表彰などを授彰。1951年5月(昭和26年)死去43歳
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感想・レビュー

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chimako

78
復刻版なので印刷のムラも活字のズレもそのまま、漢字も旧漢字。これを一字一字ペンで書き起こした原稿を思う。永井隆は原爆で白血病を発症したとばかり思っていたが、彼は放射線研究と医療従事により多くの放射線を浴び終戦時にはすでに慢性白血病と悪性貧血を患っていた。そして長崎に落とされた原子爆弾により大怪我をおい、病床で原稿を書き上げた。幼い二人の子どもたちに向ける愛とこの子らを置いていかなければならない悔恨と不安。神への信頼と切なる願い。医学に対する真摯な探求心。ただただ祈る毎日。神はなぜ彼を選んだのか。合掌。2021/04/17

糸車

23
昔、看護学校の看護倫理の授業で担任が一部抜粋して朗読してくれました。その後病棟の書架で見つけ、読了。放射線科の医師でもある筆者が自身の被爆者としての体験を医学的な記録として残していたことは知っていたけれど、その冷徹な観察眼と相反する人間的な優しさに胸を打たれる。父親として愛しい我が子を残していく彼の無念さは想像するだけで辛い。宗教的でもあるけれど、じっくりゆっくり噛みしめるように読み進めました。心に残る一冊。2016/04/23

Mayuzumi

8
宗教的な独白と、近い将来孤児になるであろう二人の子に向けた慈愛の魂とが、とこしえの詩となって迸る。口絵の、瓦礫と化した天主堂に佇む兄妹を撮した写真に、子を遠くから見守る父のやさしい眼差しを感じる。長崎に原子爆弾が落ちたとき、彼は放射線科の医師であった。本書に科学的な記載はあまりないが、一方の若き詩人の顔でもって、繊細で苦々しい又ユーモラスな筆を揮っている。何も残してやれない二人のために、せめて自分は再婚をせず、生のままの母の記憶を残してやりたいと考える。昭和二十六年五月一日没。2016/12/31

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