感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
著者の論文集である本書は、時間的かつ空間的に無関係な複数の出来事を比較する形態論と、時間的空間的に連続する歴史研究を同時に行うにはどうすべきか?という課題を自らに課した著者自身の歴史を語る。各論文を通読すると、サバトの形態研究の間にV・プロップ『昔話の形態学』に出会う著者が、形態学的な歴史研究を行うヴァールブルク研究所を「発見」し、E・ゴンブリッチを参照する一方、歴史研究でもM・ブロックやG・デュメジルを意識し、周辺的な細部から異なる文化の出会いの兆候を読むミクロストリアの創出へ至る知の遍歴の様が辿れる。2020/04/10
鵐窟庵
7
中世では悪魔崇拝と民間信仰が表裏一体となっていた根本には王道の規範と異端だった。本書ではその構造の階層と逸脱から始まる異端の数々について論じている。本書に通底するのは時空間の異なる様々な事象現象を解釈・類推して法則性を見出そうとされる際に、性質に共通したものを見出す形態学的視座と、史実に厳密に即した歴史学的視座であって、「歴史と形態論」の双方の対立構造を解消する形態学的コンテクストを提示してみせる。そこにあるのは、長期的に持続する歴史的な現象の解釈が、誤った前提から始まり悪用されることに対する警笛である。2022/01/03
トリトン
0
「徴候」を読了。2021/04/17