東京夢譚

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  • サイズ B5判/ページ数 56p/高さ 25cm
  • 商品コード 9784794215727
  • NDC分類 748
  • Cコード C0072

内容説明

街の手ざわり、ひとの匂い、物語の気配。夢と現のあいだを漂い歩きつつ、ひとが暮らす場としての街の肖像を撮る。Web草思連載「東京ポルカ」の随筆21篇を加筆収載。

著者等紹介

鬼海弘雄[キカイヒロオ]
1945年、山形県寒河江市生まれ。1978年、法政大学文学部哲学科卒業。山形県職員を辞して、トラック運転手、造船所工員、遠洋マグロ漁船乗組員などさまざまな職業を経て写真家になる。『王たちの肖像』で1988年日本写真協会賞新人賞、第13回伊奈信男賞(1988年)。『INDIA』で「写真の会」賞(1992年)、『しあわせ』で第2回さがみはら写真賞(2001年)、『PERSONA』で第23回土門拳賞、2004年日本写真協会賞年度賞(2004年)を受賞。2004年には寒河江市より顕彰される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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yumiha

35
『アナトリア』は、人も動物たちも表情を持ち、何か語りかけてきそうだった。本書『東京夢譚』は、あまり人も動物たちもいない。街や家や道路など無機質な写真が多い。でも、干してある洗濯物、布団、傘、靴に生活感が漂う。間に挟まれた50ページほどのエッセイを読むと、これまで思い描いていた豪快で偏屈者という鬼海弘雄のイメージが変わった。繊細で気ぃ遣いな一面を読み取った。カメラマンは視覚が一番と思っていたのもくつがえされた。五感すべてを研ぎ澄ませておられた。特に通りすがりの人の会話をすれ違いざまに聞き取る場面に驚いた。2019/03/11

たまきら

17
切り取られた風景は巧い、とはいえないけど、どれにも不思議なぐらいに人間臭さがあり、田舎臭い。そう、ネイティブが住む町を切り取っているからだろう。東京という町は東京を故郷としない住民が大多数を占める不思議な町。その一人だから切り出せる世界なのかな、と思いつつニヤリ。2016/04/07

misui

3
何の変哲もない東京の風景だがよくよく見ると写真のどこかにフックになる部分があり、ほのかに物語の気配を漂わせる。たとえば奇妙なオブジェ、新旧が並び立つシチュエーション、突き出した物干し竿や植木鉢、ドブ川に背を向ける建物群、増改築の跡。生活の息遣いだけが感じられて、人間のいない日常が進行しているような錯覚にとらわれる。その息遣いの定着こそが街のポートレイトだ。収録されているエッセイも街歩きのさなかに遭遇した人や物から夢想が広がっていくというもので、写真と併せて味わい深かった。2014/07/25

ysds 099

1
写真家 鬼海弘雄の東京を歩き撮りためたモノクロ写真集と随筆21篇。東京の変哲のない場所を巡り歩き、古き良き時代の東京での生活を懐古する。随筆には高度成長期の貧しくてもさまざまな人々の繋がりによって伸びのびと暮らしている姿が印象に残った。 「快適で、便利で、享楽的な暮らし」は、長い時間をかけて培ってきた、社会の底を支える文化の「腐植土壌」を、豪雨が押し流すように荒廃させている気がする。たぶん、大量消費経済を享受できないもののひねた僻みだけではないと思うのだが。第十二話 「散らばった小銭と藤の花」2020/04/11

ブラウン

0
眠たげな午後の世界が、絶妙な距離感でフィルムに定着されている。プリントは、相変わらず職人芸である。エッセイも、鬼海弘雄の観察眼がしれて面白い。才人である。2015/03/10

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