戦争が遺したもの―鶴見俊輔に戦後世代が聞く

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戦争が遺したもの―鶴見俊輔に戦後世代が聞く

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  • サイズ B6判/ページ数 403p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788508873
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C1028

出版社内容情報

 『〈民主〉と〈愛国〉』で読書界の話題をさらった小熊氏が、今回はあの上野千鶴子氏をさそって、戦後思想界の大御所・鶴見俊輔氏に、戦争体験を軸に戦中から戦後にかけての経験をお聞きします。戦時中の捕虜虐殺、慰安婦問題、戦後の『思想の科学』時代、「転向」研究、安保闘争、ベ平連と脱走兵援助、など、これまで聞き手が遠慮してきたようなこともすべてお聞きしています。また、鶴見氏も「今回はすべて話します」と言って、洗いざらい答えられています。鶴見ファンにとっては、はじめてお聞きするようなことがゴロゴロ出てきて、たまらない本になるでしょう。上野ファン、小熊ファンにとっても、それれの鋭い切り込みによる鶴見氏の赤裸々な「告白」をとおして戦後思想史の隠されていた部分が次々に明かされるスリルと、丁々発止の対談の魅力を味わうことができるでしょう。

 つまるところ、「戦後」を終わらせる、あるいは相対化するためには、「戦争が遺したもの」と向きあい、「戦後」を理解するべく努めるほかないという、いささか平凡な結論に到達する。いまだに「戦後世代」でしかありえない私たちは、いまだに「戦後」でしかありえない時代を生きてゆくなかで、そうした努力に迫られざるをえない。そうした意味で、鶴見氏の戦争体験と戦後体験をお聞きすることは意義を持つと考えた。(小熊英二氏「まえがき」より)

 鶴見さんの信頼の深さをまえに、わたしはバトンを手渡された気分である。わたしも小熊さんも戦争を知らない。日本では人口の三分のニまでが、戦後生まれで占められるようになった。戦争体験は、もはや経験者が語り継ぐものではなくなり、それをまったく知らないものたちが再構成して引き受けるほかないものになった。だが、二十一世紀の今日、戦争は少しも過去のものになっていない。あの惨憺たる経験から、わたしたちが学んだことはまだまだ足りない、かのように。
歴史は、それから学ぼうとする者にしか姿をあらわさない。歴史という道しるべのない道を、わたしたちの前に立って歩んできた鶴見さんという知性から、学ぶことは多い。わたしたちはいささか性急に、そしてあまりに無遠慮に、かれがこれまで多く語ってこなかったことを引き出したことを引き出したかもしれない。それというのも、鶴見さんがわたしたちに示した寛大さと信頼のしるしであり、それを受け取ったものには責任が生まれる。願わくばその責任を、読者のあなたにも分かちあってもらいたい。そう願って本書を読者のもとに送りたい。(上野千鶴子氏「あとがき」より)

一 日 目
原点としての生立ち
ジャワでの捕虜殺害
「従軍慰安婦」の問題
雑談1 一日目夜

二 日 目
八月十五日の経験
占領改革と憲法
『思想の科学』の創刊
丸山眞男と竹内好
五〇年代の葛藤
戦争責任と「転向」研究
雑談2 二日目夜

三 日 目
六〇年安保
藤田省三の査問と女性史の評価
吉本隆明という人
アジアの問題と鶴見良行
全共闘・三島由起夫・連合赤軍
ベ平連と脱走兵援助
雑談3 三日目

「本書を読んで、語るべきことはまだまだ多くあることがわかった。」(2004.4.8号 「私の読書日記」張競氏評)
「鶴見氏が答えをひとつに絞りかねる個所があり、そのゆれ動きや葛藤(かっとう)にこそ、リアリティーが感じられる」(2004.4.4山梨日日新聞など 香山リカ氏評)
「一編の社会小説を読む楽しさがある。」(2004.4.4福井新聞 石村多門氏評)
「日本と日本人について生き生きと感じ考え続けてきた独創的な知性に魅了される。」米原万里氏評(中日新聞 04.03.21)

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 【関連書籍】
 『 対話の回路 小熊英二対談集 』 小熊英二著 (定価2940円 2005)
 『 〈民主〉と〈愛国〉 』 小熊英二著 (定価6615円 2002)
 『 〈日本人〉の境界 』 小熊英二著 (定価6040円 1998)

内容説明

アメリカでの投獄、戦時下の捕虜虐殺と慰安所運営、60年安保とベトナム反戦、丸山真男や吉本隆明との交流…。戦争から戦後を生き抜いた知識人が、戦後60年を前にすべてを語る。

目次

原点としての生立ち
ジャワでの捕虜殺害
「従軍慰安婦」との関わり
八月十五日の経験
占領改革と憲法
『思想の科学』の創刊
丸山真男と竹内好
五〇年代の葛藤
戦争責任と「転向」研究
六〇年安保
藤田省三の査問と女性史の評価
吉本隆明という人
アジアの問題と鶴見良行
全共闘・三島由紀夫・連合赤軍
ベ平連と脱走兵援助

著者等紹介

鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年、東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書き上げ、卒業。交換船で帰国し、海軍ジャカルタ在勤武官府に軍属として勤務。戦後、丸山真男などと『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行なう。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年、安保改定に反対し、市民グループ「声なき声の会」に参加。65年、べ平連に参加し、アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。主な著書に『戦時期日本の精神史』(岩波書店、大仏次郎賞)、『夢野久作』(リブロポート、日本推理作家協会賞)など。1995年度朝日賞受賞

上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年、富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。平安女学院短期大学助教授、京都精華大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は女性学、ジェンダー研究で、この分野の指導的理論家の一人。主な著書に『近代家族の成立と終焉』(岩波書店、サントリー学芸賞)など

小熊英二[オグマエイジ]
1962年、東京生まれ。1987年東京大学農学部卒業。出版社勤務を経て、98年東京大学教養学部総合文化研究科国際社会科学専攻大学院博士課程修了。現在、慶応義塾大学総合政策学部助教授。主な著書に『単一民族神話の起源』(新曜社、サントリー学芸賞)、『“民主”と“愛国”』(新曜社、日本社会学会奨励賞、毎日出版文化賞、大仏次郎論壇賞)など
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感想・レビュー

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どんぐり

93
2004年の刊行から、いつの戦争だというくらいに「戦後」はさらに遠のく。鶴見俊輔の戦争体験と日本の戦後思想をたどる鼎談だ。聞き手は、上野千鶴子と小熊英二の論客。政治家の家での生い立ち。母(後藤新平の娘)の折檻を伴う愛情から不良になったという少年時代を過ごした鶴見は、15歳で渡米し、ハーヴァード大学に入学。日米開戦により帰国し、ジャワで海軍の通訳と通信傍受に従事する。戦後は教職につきながら『思想の科学』の創刊し多くの知識人と交流し、戦争責任の問題と「転向」研究、60年安保からベトナム反戦へと向かう。→2021/06/05

おさむ

37
先日、評伝を読んだ鶴見俊輔。もう少し彼について知りたいと思い読んだのが本著。小熊英二と上野千鶴子という豪華なインタビュアー。馴れ合いにならず、2人が突っ込んだ質問もするところがこの本を面白くしています。ジャワ島での軍属時代に慰安婦の斡旋をした事実や、作家で大臣にもなった一番病の父親に対する軽蔑、母親の支配からひたすら逃れようとした青年時代、戦後のベ平連に代表される徹底して権威というものを信じないスタンス。その語り口から人物像が鮮明になりました。時代情勢を知らないとわからない事も多いですが、良書です。2020/02/26

みねたか@

31
上野千鶴子と小熊英二による鶴見俊輔へのインタビュー。聞きにくいことにあえて踏み込む二人。従軍慰安婦補償のアジア平和基金の話などには緊張感がみなぎる。それだけに合間の座談では二人が一ファンに戻っていて微笑ましい。鶴見氏の仕事を知らない故に浅い読み方になったのは残念だが,氏の生きてきた道が垣間見え,考え方の根っこに触れられる。軍属としての従軍経験を踏まえた,もし自分が殺人を命じられたらという問建て,昭和天皇の戦争責任の取り方の考察など、知識人とは自ら考える人をいうことを改めて教えてくれる。2019/12/06

Aya Murakami

31
市内に上野千鶴子様が講演にくるというので上野千鶴子特集やっていたうちの1冊。 上野千鶴子さんの話よりも鶴見さんの話や生き方に共感を覚えた。正しくも厳しすぎる母親に反発して絶対的な正しさを疑う発想は本当に心に響いた。うちも母親が厳しい人で本当に苦労したので…。 戦争がテーマということで慰安婦の話も載っていました。慰安婦にも人種差別の影があったり、慰安婦の側が18で兵隊二兎られた少年を哀れんだり…。発見が多かったです。2018/06/10

秋 眉雄

27
『その応酬が新しい文体をつくって、それが発火点になっていろんなことが起こってくるめどがあるかっていうことだよね。』『そうなの?私は自分の偏見に合わせて丸山さんの思想をゆがめているな。』『大義というような抽象的なものによって、決断をすべきじゃない。人間にはそんなことを判断する能力はないんだ。誰となら、一緒に行動していいか。それをよく見るべきだ。』いやもう、付箋だらけですよ。2019/08/21

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