内容説明
明治半ば以降、一気に広まった遊び「こっくりさん」、人々を熱狂させた催眠術、透視をめぐる論争を巻き起こした千里眼事件―。「信仰」「迷信」「心」と「科学」のあわいに発生して、多くの人々の耳目を引いた明治期のオカルト現象から、日本の近代化の一側面を照らす。
目次
第1部 “こっくりさん”と“千里眼”(明治のこっくりさん;催眠術と「煩悶の時代」;千里眼と科学;科学のゆくえ・心霊学のゆくえ)
第2部 その後の“こっくりさん”と“千里眼”(千里眼は科学の分析対象たりうるか;催眠術と霊術のあいだ;「こっくりさん」の変容)
著者等紹介
一柳廣孝[イチヤナギヒロタカ]
1959年、和歌山県生まれ。横浜国立大学教育学部教授。専攻は日本近現代文学・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ステビア
23
近代/科学/唯物論が排斥したスピリチュアルなものを科学的な装いのもとで探究する近代の鬼子、それがニューサイエンス2022/05/30
saladin
3
”こっくりさん”、”催眠術”、”千里眼事件”。これら明治期のオカルト現象に通底していた心霊学と科学の相克を描き出し、日本の近代化の一側面を照らし出した著作。”「近代」は、新たなパラダイムのもとに着々と整備されていった。…しかし、その結果「近代」では回収しえないさまざまな「残り物」への欲望が、人々のなかでくすぶり続けることになる”。明治期のオカルト現象は、「科学」が万能の思考装置と化していく中で、そこからはみ出し、排除されたものたちの受け皿となったのだろう。2021/04/13
わ!
0
文明改革直後の日本…こっくりさんが、洋学とともに日本に入ってくる。19世紀、世界をリードしている国、イギリス…このイギリスでも、同様に心霊学なるものの一大ブームが訪れる。有名なところでは、あのシャーロック・ホームズの生みの親、コナン・ドイルが熱狂的な心霊学マニアだったことは、ご存知の方も多いだろう。この本には、今書いたような、こっくりさんの歴史的な内容なども書かれているが…そもそもそのようなモノにどうして人が魅せられ、ブームになっていったりするのかが、詳しく書かれているのでした。2010/07/31