出版社内容情報
野呂が現役の頃から小説とエッセー集を愛読して知的好奇心に満ちた青春期をともに過ごしながら作家として熟すまでの具体相を読み込んできた著者が、『兵士の報酬』『小さな町にて』(みすず書房)の出版を機にあらためて全作品を徹底的に読み込んで、繊細な作家の世界を浮き彫りにする。
車谷長吉、三浦哲郎、滝田ゆう、幸田文、洲之内徹、阿部昭を精読して評してきた著者が野呂邦暢の文学世界に分け入った渾身の作家論。
※野呂邦暢(のろ・くにのぶ:1937―80)※
ナガサキの原爆を疎開先の諫早で目撃、その体験を背景にもつ作品や自分の自衛隊体験、長崎県諫早市を舞台に歴史小説なども発表し、多くのファンが愛読。自衛隊員としての体験をもとに『草のつるぎ』で1974年に第70回芥川賞を受賞。
プロローグ――なぜ、いま、野呂邦暢なのか
? 「戦後」七十年
1 『父と暮せば』の問い
2 『明日――一九四五年八月八日・長崎』の問い
3 『失われた兵士たち――戦争文学試論』を読む
? 父と子
4 桃、二つ
5 父と子――「海辺の広い庭」
6 ピークとは何か
? 風土・諫早
7 カスピアン・ターン――「鳥たちの河口」
8 風が吹いている――「草のつるぎ」
9 本明川――洪水の記憶と
? 歴史へ
10 未読のあなたへの手紙?――『諫早菖蒲日記』
11 未読のあなたへの手紙?――『落城記』
12 G島、アウステン山――『丘の火』
深谷 考[フカヤ コウ]
著・文・その他
内容説明
ナガサキの原爆を目撃した精神的な出発点を背景にした作品や自衛隊体験に基づいた異色作、歴史小説などを発表した芥川賞作家・野呂邦暢の全作品を徹底的に読み込み、繊細な作家の文学空間を浮き彫りにする。
目次
1 「戦後」七十年(『父と暮せば』の問い;『明日―一九四五年八月八日・長崎』の問い ほか)
2 父と子(桃、二つ;父と子―「海辺の広い庭」 ほか)
3 風土・諌早(カスピアン・ターン―「鳥たちの河口」;風が吹いている―「草のつるぎ」 ほか)
4 歴史へ(未読のあなたへの手紙1―『諌早菖蒲日記』;未読のあなたへの手紙2―『落城記』 ほか)
著者等紹介
深谷考[フカヤコウ]
1950年、茨城県結城市生まれ。文筆家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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