ライトノベル研究序説

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ライトノベル研究序説

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  • サイズ A5判/ページ数 303p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784787291882
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

アキバの空、アリアケの夏――。アニメ的なイラストが特徴のエンターテインメント小説、ライトノベル。歴史や周辺事項を解説しながら読み解くための多様な視点を示し、具体的な作品読解も交えてライトノベルにアプローチする方法をレクチャーする入門書。

はじめに 一柳廣孝

第1部 文化

[メディアミックス]
ラノベキャラは多重作品世界の夢を見るか? 川崎拓人/飯倉義之
 1 多重並行世界化する「メディアミックス」
 2 角川映画から『ロードス島戦記』までのマルチメディア展開
 3 あかほりさとると『スレイヤーズ』のメディアミックス
 4 『灼眼のシャナ』と『涼宮ハルヒの憂鬱』、メディアミックスのためのコンテンツ

[オタク文化]
受容と供給の欲望――何を求め、何を生む 山中智省
 1 ライトノベルとオタク文化の相関性
 2 「オタク」のライトノベル受容
 3 「ラノベ読むとオタクですか?」

[マンガ]
表現のパイオニア――ライトノベルが切り開く地平 佐藤ちひろ
 1 「マンガが読める」とはどういうことか
 2 ライトノベルのイラストとマンガ
 3 ライトノベルの文章表現とマンガ
 4 総合表現としてのライトノベル

[レーベル]
とある文庫の刊行目録(ルビ:インデックス)――角川系レーベル群から見えるもの 髙島健一郎
 1 調査対象と方法の概略
 2 電撃の躍進――刊行点数の推移から
 3 多様化への戦略―作家数の推移から
 4 独自性への志向――作家の囲い込み
 5 ライトノベルの課題――短命の書籍

キャラクター 山川知玄

萌え 山川知玄

イラスト 矢崎洋平


第2部 歴史

[TPRG]
ライトノベルの一源流――執筆されるテーブルトーク 中村 亮
 1 TRPGとは? リプレイとは?
 2 ライトノベルとの蜜月期
 3 TRPG業界の縮小と現在

[児童文学]
ライトノベルと児童文学の「あいだ」――「主体性」の問題をめぐって 井上乃武
 1 ライトノベルと児童文学の「違い」――エンターテイメント性と社会性
 2 一九七〇年代日本児童文学に見られる「ライトノベル性」
 3 戦後日本児童文学の「分岐点」――「主体性」と「現実」の融合
 4 「主体」の相対化――ライトノベル児童文学の現在と可能性

[SF]
ジャンル小説からのまなざし――戦後日本SFを例に 石崎純一
 1 ライトノベルの多元性
 2 戦後日本SFの形成から浸透と拡散へ
 3 SFからライトノベルへ

セカイ系と日常系 山口直彦

美少女ゲーム 山中智省


第3部 視点

[ジェンダー]
少年少女の出会いとその陥穽――性制度の攪乱に向けて 久米依子
 1 読者設定とジェンダー――性別化されたレーベルと越境性
 2 物語内のジェンダー――少年と少女の関係
 3 ジェンダーを考えるために――『キノの旅』『制覇するフィロソフィア』の試み

[社会学]
「現実(ルビ:リアル)」に憑かれた言説――ライトノベル批評の現在 塚田修一
 1 大塚英志――自然主義的リアリズムとまんが・アニメ的リアリズム
 2 東浩紀――まんが・アニメ的リアリズムからゲーム的リアリズムへ
 3 「現実(ルビ:リアル)」に憑かれた言説

[読者]
〈読者〉としての〈ヤングアダルト〉――ライトノベルを〈教材〉にする 大橋崇行
 1 〈読者〉はどこにいるのか
 2 〈ヤングアダルト〉書籍としてのライトノベル
 3 高校生の読書実態
 4 ライトノベルと小説読解の〈制度〉
 5 ライトノベルを〈教材〉にする

あとがき 樋渡隆浩

文学への越境 大澤 聡

情報工学とライトノベル 山口直彦


第4部 読む

柴村仁『我が家のお稲荷さま。』――ご近所の異界 一柳廣孝
 1 『我が家のお稲荷さま。』
 2 境界と越境の物語
 3 天狐空幻と三槌(高上)美夜子の物語
 4 ご近所の異界

神坂一『スレイヤーズ』シリーズ――ストーリーからキャラクターへ 及川早紀
 1 リナの語り
 2 TRPGからの脱構築
 3 キャラクターとイラスト

木原音瀬『無罪世界』ほか――BL論の明日に向けて 山田健一朗
 1 『《やおい小説》論』の衝撃と影響
 2 欲望の一方通行――木原音瀬『無罪世界』を読む

内容説明

アキバの空、アリアケの夏―。アニメ的なイラストが特徴のエンターテインメント小説、ライトノベル。メディアミックスを通してダイナミックに展開するその歴史をたどり、オタク文化・ゲーム・児童文学などとの関係性を解説するとともに、ライトノベルを読み解くための多様な視点を示す。具体的な作品読解を交えながら、ライトノベルにアプローチする方法を丁寧にレクチャーする入門書。

目次

第1部 文化(メディアミックス―ラノベキャラは多重作品世界の夢を見るか?(川崎拓人/飯倉義之)
オタク文化―受容と供給の欲望(山中智省)
マンガ―表現のパイオニア(佐藤ちひろ)
レーベル―とある文庫の刊行目録(高島健一郎)
キャラクター(山川知玄)
萌え(山川知玄)
イラスト(矢崎洋平))
第2部 歴史(TRPG―ライトノベルの一源流(中村亮)
児童文学―ライトノベルと児童文学の「あいだ」(井上乃武)
SF―ジャンル小説からのまなざし(石崎純一)
セカイ系と日常系(山口直彦)
美少女ゲーム(山中智省))
第3部 視点(ジェンダー―少年少女の出会いとその陥穽(久米依子)
社会学―「現実」に憑かれた言説(塚田修一)
読者―「読者」としての「ヤングアダルト」(大橋崇行)
あとがき(樋渡隆浩)
文学への越境(大澤聡)
情報工学とライトノベル(山口直彦))
第4部 読む(柴村仁『我が家のお稲荷さま。』(一柳廣孝)
神坂一『スレイヤーズ』シリーズ(及川早紀)
木原音瀬『無罪世界』ほか(山田健一郎)
野村美月『文学少女』シリーズ(大島丈志)
おわりに(久米依子))

著者等紹介

一柳廣孝[イチヤナギヒロタカ]
和歌山県生まれ。横浜国立大学教員。専攻は日本近代文学、日本近代文化史

久米依子[クメヨリコ]
東京都生まれ。目白大学教員。専攻は日本近代文学、日本児童文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Takayuki Oohashi

8
ちょっと昔の本ですが、市立図書館の閉架から借りて、読みました。「バッカーノ!」が漫画的演出でイラストも含めた、ビジュアルを意識して書かれたとあり、そういうことを含めて、ラノベは書かないといけないんだな、と思う事でした。あと「スレイヤーズ」を詳細に解説していて、若い時の愛読書がこのように分析されるのは、当時のファンとしては嬉しかったです。ただ、BLの分析はついていけませんでした(汗)2015/12/23

とら

5
面白い。2018/07/19

れじーな

5
本当ならどっぷりはまっていても可笑しくなさそうな中高生の頃からライトノベルが苦手でした。アニメちっくな(女の子の)イラスト、ステレオタイプなんだけど、その性格的特徴が必要以上に誇張されたキャラクター、ついでに言えばTRPGのリプレイも、少女小説も駄目だったですよね。でも、私が苦手だなぁ、と思う要素が販売戦略なら、私とライトノベルが相容れないのも無理はないのだと納得しました。強い女の子と守られる男の子に見せかけて、実は非常に男性本位だというジェンダー論が面白かったです。2013/06/09

天条一花

4
ライトノベルに関する本格的な論文集。各論文が短く、主旨が絞られており読みやすい。メディアミックス論に始まり、作品論に至るまで読み応えあり。昨今のライトノベルに関する問題を多角的に論じているので、かなり参考になる。ラノベをもっと深く考えて見たいという方は、パラパラでもいいので読んでみるべし。2009/05/14

3
「スタディーズ」よりもこちらが先だったらしい。 BLにフォーカスを当てている章があって面白かった。真面目に考察できるんだなぁ2021/05/20

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