出版社内容情報
うずまく欲望の名さえ知らない日々、ある出来事が起こる。唐突に逝った姉の真実、親切な老紳士の豹変、父への小さな復讐──。一つの体験が少女や少年を大人の世界に連れていく。青く透明な感性でつづった全10編のアンソロジー。
１ レイチェルの夏 チャールズ・ジャクソン［佐々木志緒訳］
２ 別れの日 ネルソン・オルグレン［吉田千鶴子訳］
３ イザベル ジョーゼフ・Ｔ・シップリー［山本悦子訳］
４ 小さな家庭教師 キャサリン・マンスフィールド［立石光子訳］
５ 取り引き レナード・マイケルズ［城福真紀訳］
６ 聖霊の神殿 フラナリー・オコナー［大久保庸子訳］
７ パーカー先生 ローリー・コルウィン［松野玲子訳］
８ マスカラ ジャネット・ネイ［新井雅代訳］
９ プロ・アルテ アラン・シーガー［丘えりか訳］
10 長い小説の短いダイジェスト バッド・シュールバーグ［中田耕治訳］
あとがき
この商品は非再販本です。ご購入のさいは青弓社にご連絡ください。青弓社（03-3265-8548）
内容説明
渦巻く欲望の名前をまだ知らない日、記憶に襞を刻むひとつの出来事が起こる。唐突に逝った姉の真実。レディの手袋とキスの取り引き。親切な老紳士の豹変。父への小さな復讐…。少女／少年たちは、夢の言葉をたずさえて大人になる。清冽な残響をのこす少女少年小説全１０篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
7
こども・青春の喪失をテーマにした短篇のアンソロジー。副題に「後味の悪い小説」と付け加えたいくらい、そういう小説が多かった。とくに少女が登場する作品には性被害が描かれていることも多く、苦手な方は要注意です。2014/07/23
twinsun
5
真実を封印しあの世で地団太を踏んでいるであろう「レイチェルの夏」の体験。可愛い女の子は悪ガキどもや萎びても肉欲を内に秘めた老人たちの欲望の対象として時に踏みにじられるが（イザベル、取引、小さな家庭教師、パーカー先生）、女の子だって楽しむのだ（マスカラ）、限られた生を輝かすため騙すことだってある（プロ・アルテ）。世界への信頼感に疑念を抱く体験の物語（聖隷の神殿、長い小説の短いダイジェスト）。子離れしない親爺との愛憎と旅立ちの記録が一編男の子の物語として収載されている（別れの日）。2024/01/23
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