内容説明
展示を取り巻く時間と空間、作家と鑑賞者、作品の展示と保存などの10のギモンを設定して、具体的な展覧会や作品を紹介しながら、現代美術のキュレーションの基本的な視点を解説する。美術館や展覧会というメディアがもつ可能性とそれを支えるキュレーターという仕事の重要性を指し示すガイドブック。
目次
ギモン1 どこで展示するの?
ギモン2 展示の順番と見る順番は違うの?
ギモン3 何を展示するの?
ギモン4 作品って何?
ギモン5 日本人向けの展示ってあるの?
ギモン6 赤ちゃん向けの展示ってあるの?
ギモン7 どうして美術館は作品を集めるの?
ギモン8 何を残すの?
ギモン9 どうして展覧会を作るの?
ギモン10 キュレーターって何をするの?
著者等紹介
難波祐子[ナンバサチコ]
キュレーター、NAMBA SACHIKO ART OFFICE代表、東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授。東京都現代美術館学芸員、国際交流基金文化事業部企画役(美術担当)を経て、国内外で現代美術の展覧会企画に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
菊地
4
「一般人に取って分かり辛い『現代美術』への疑問に対して、現代美術キュレーターが明快な回答を示す」という内容を想像あるいは期待して読んだんだけど、そういう意味ではあまり期待に沿ったものでは無かったかな、と。 現代美術に関する周辺の情報・知識には興味深いがあるものの、一方でやはり本質的な「現代美術」の分かり辛さに関してはふんわりしてしまっていた印象を受ける。 もっと回答数を増やした短答式で、端的に回答する方式でまとめてくれた方が好みですね。2024/04/01
なをみん
2
ギモン形式で現代美術の気になる話題を深掘り。「参加型アート」とか「Kaekko」とか「ディアスポラ」なアーティストとか東大生協の〈きずな〉のその後とか「こどものにわ」とか。ついでに「赤ちゃんは縞模様が好き」とかも興味い。最後に飯田の持田さんの空き家がでてきて「お!」てなった。この10年20年で大きく変わった現代アートを自分事として考える人も多くなった時代の日本と世界の界隈の実際的な話題に一気に触れられる一冊。2025/02/07
skr-shower
1
他地区図書館本。現代アート、簡単とも難しいとも言えるか。ギモンは解決されない。2024/10/12
totuboy
0
美術って最近は=哲学ってなっていると思う。なぜこれが美術なのか、そもそも美術の定義とは何か。現代美術はそれを哲学のレベルで私たちに投げかけているのではないか。そもそもなぜ美術館で展示されているものが美術と呼べるのか。鑑賞者がそもそも自分たちの行為に疑問を感じていないのに、そこにキュレーターが疑問を投げかけることでこの本は成立している。これからの美術を考えるうえで非常に参考となる一冊。2024/03/02
きゃしー
0
森美術館や金沢21世紀美術館で現代アートの展覧会のキュレーションを数多く手がけた作者が、アート鑑賞初心者にも分かりやすく、対話型で解説してくれている本です。アーティストがこれはアートであると表明し、キュレーターがそれをアートであると認めることで、作品が生まれる。時の経過を表現したり、参加型であったり、映像を用いたインスタレーションであったりするのが現代美術の特徴なので、記録に残すという意味でも美術館や美術展の存在意義があるという学びがありました。2024/01/30