内容説明
新たな技術・メディアが驚異的な発展を遂げた19世紀末から20世紀初頭まで、文学や芸術だけでなく、音楽や建築文化、映像メディアなどがドイツの人々に圧倒的に支持されていた。冷めた合理性に裏打ちされる新たな技術と祝祭性を伴う熱狂の狭間で揺れ動いたドイツの芸術文化の特異性を、当時の社会思想や社会状況も織り交ぜながらあぶり出す。
目次
第1部 陶酔のテクノロジー(機械の陶酔のなかで;「おまえはカリガリにならなければならない!」―ヴァイマール映画における陶酔と越境の契機をめぐる一考察;陶酔と制御―アルフレート・デーブリーン『山と海と巨人』における技術)
第2部 陶酔のディスクール(海の誘惑 身体の夢―G・ベンとS・フェレンツィにおける生物学と陶酔;エルンスト・ブロッホ『この時代の遺産』における陶酔の弁証法;陶酔のなかで共に生きる―ベンヤミンの麻薬実験と恍惚の集団性;陶酔と無調―奏でられ、歌われ、酔われる四重奏に向けて)
第3部 陶酔の演出(第一次世界大戦中のパウル・ベッカーの思想と「世界観音楽」の終焉;アビ・ヴァールブルクにおける陶酔とメランコリーの認識法―ニンフとアトラスをめぐる「ムネモシュネ・アトラス」拡張の試み;技術と陶酔、演劇と祝祭―マックス・ラインハルトの場合;方法としての陶酔、材料としての人間、芸術家としての総統―ヴァイマール共和国における国家社会主義と「政治の美学化」)
著者等紹介
鍛治哲郎[カジテツロウ]
1950年生まれ。鎌倉女子大学教授。専攻はドイツ文学
竹峰義和[タケミネヨシカズ]
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は表象文化論、ドイツ思想史、映像メディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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