内容説明
いま、ヒップホップの「リアル」とは何か。移民の血を受け継ぐアメリカのラップ、生きるために移民を強いられたアフリカやアジアのラップ、そして非移民者たちのことばである日本のラップ…。国境も経済も軽々と超えて五大陸に伝播し再生産されてきたラップが描く世界の「断層」を熱く追う。
目次
第1章 自分史としてのヒップホップ―セネガル生まれのMCソラールから沖縄生まれのアムロちゃんまでの道程
第2章 ヒップホップの黎明期―1970年代のブロンクス団地で起爆した漆黒の熱狂
第3章 ヒップホップの歴史を俯瞰して―全米を揺るがした“ビート”と“ライム”による覚醒
第4章 DJが回すもの、そしてラッパーが放つこと―ポストモダンの技法と、伝統的な詩(ポエット)の文脈と
第5章 トリップホップ―ブリストルから生まれたヒップホップの私生児
第6章 日本のヒップホップ―黄色魔術楽団からR指定までの道のり
第7章 21世紀のヒップホップ、ミックステープ、次なるもの―先鋭化と点在化の彼方に未来はあるか
第8章 世界に響くヒップホップ―移民たちが暴き出す黒い断層と21世紀
著者等紹介
関口義人[セキグチヨシト]
東京都世田谷区生まれ。明治大学卒業。ヨーロッパでの駐在を経て、ジプシー研究、音楽評論を軸にしている。桜美林大学・首都大学東京講師。「音樂夜噺」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nizimasu
4
もともとアフリカでビジネスをしていた中年男性がヒップホップに出会いはまり、本まで書いてしまうというのがいきなりこの展開もヒップホップ的な成り上がりだけど、著者の世代間から見たヒップホップの歴史と世界的な発展を検証する構成。となると考察するヒップホップの対象はUSだけにとどまらず、日本にUK、フランス、ヒスパニックさらにはアフリカのシーンまで及ぶ。個人的にはトリップホップまで入ってくるとその解釈に戸惑うのだが、ローカルのシーンにそれぞれのヒップホップがあるのはいわずもがなでこの本の視点の広さに感心2013/08/27
72ki
2
「ヒップホップはアメリカの文化」、「ヒップホップは世界の文化」どちらも本当です。本書に書いてあります。50才近くでヒップホップにハマった著者と還暦間近で(当時最先端だった)モダン・ジャズにハマった植草甚一氏(本書で言及あり)とがイメージ被る。誰が何時、何処で何にハマったってかまわないし、大人の男がかぶれるものには意味がある。「そうさなにかにこらなくてはダメだ」とムッシュも言っている。2013/06/22
笠井康平
0
私事を軸にした網羅的な書かれ方がしてあって助かりました2015/06/07