出版社内容情報
「学校裏サイト」「ネットいじめ」「援助交際」「出会い系サイト」など、青少年とインターネットの関係は、様々な側面で社会問題化され、そのリスクや問題性、事件・犯罪に巻き込まれる危険性が、主に保護者や教育現場の立場から議論されてきた。
一方で、スマートフォンをはじめとしたネット端末が青少年に普及したいま、またコロナ禍という社会状況もあり、ネットを介した出会いやコミュニケーションは青少年にきわめて身近なものになっている。
本書では、青少年、特に青年期女子が「Twitter」などのSNSや「LINE」などのインスタント・メッセンジャーといった各種サイト・サービスを介して出会いを実現することのリスクを確認する。そのうえで、多くのインタビュー調査(質的調査)から、出会い経験者と非経験者との差異を浮き彫りにして、青年期女子をはじめとした青少年はネットを介した出会いをどのように考えているのか、出会い経験者はどのような過程を経て出会いを実現するのか、その実態を様々な事例とともに明らかにする。
ネットを介した出会いで一時的であれ人間関係を築くことができる有用性とそのリスクの両面を分析して、保護者や教員が考えるべきポイントも指摘する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
8
図書館にて。本書が注目する研究対象は、学校の知人友人をはじめとした既存の人間関係(ウチの関係)でのネットを介したやりとりではなく、ネット上で新たに形成された人間関係(ソトの関係)である。また位置付けは社会情報学だが、先行研究が少ないため、社会学・心理学などの知見も踏まえる▲文通、(家)電話、テレクラ、援助交際(1996年流行語大賞)、ベル友(ポケベル)、メル友(iモード)、「学校裏サイト」、「プロフ」、SNS、マッチングアプリ、コロナ禍下のZoom。保護者がスマフォヤングの実態と感覚をつかめない2022/12/28
ブルーツ・リー
4
こんなタイトルと表紙だが、内容はきちんとした専門書。 結局、リアルで人間関係を十分に作れない人が多いため、ネットで、お手軽に人間関係を作ろうとする人が多い。という事のよう。 個人の面から言えば「点を面にする」付き合いができない人が増えているのでは、との事で、社会の面から言えば、リアルでの人との出会いを得られる場が少ない、という問題点があるよう。 しかし、結局ネットで作った人間関係は浅く、すぐに切れる。というのは同感で、やはり何とか、リアルの世界で人間関係を作って欲しいし、作れる環境を作らなくてはと思った。2022/11/10