内容説明
フェイクニュースはどのようにして生まれ、なぜ広がるのか。ソーシャルメディア、ミドルメディア、マスメディアの相互作用をニュース生態系として捉え、その構造を解き明かす。人々が生態系に取り込まれ汚染の拡散を担わされ、ファクトチェックさえも汚染を引き起こす要因になっている実態を浮き彫りにする。
目次
第1部 構造(フェイクニュースとは何か;フェイクニュースはどのように生まれ、広がるのか;汚染されたニュース生態系)
第2部 対抗(フェイクニュースは検証できるのか;ファクトチェックが汚染を引き起こす)
第3部 未来(フェイクニュースのなかを生きる若者;汚染とメディアリテラシー;新たなニュース生態系の確立に向けて)
著者等紹介
藤代裕之[フジシロヒロユキ]
1973年、徳島県生まれ。法政大学社会学部教授。徳島新聞社、NTTレゾナントを経て現職。専攻はソーシャルメディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駒場
9
フェイクニュースを「ファクトチェック」「真実を求める姿勢」で打破するのは不可能!?まとめサイトなどのミドルメディアを筆頭に汚染されまくったニュースの生態系、PV至上主義が既存メディアをも蝕み、「こたつ記事」が量産されていく。人々はファクトチェックを敵への攻撃に使い、既存メディアへの批判精神と真実を求める姿勢から“インターネットで真実に目覚め“てしまう。第三者機関によるチェックなどが対策として示されているが、こんだけ汚染されてたらもうどうにもならんのとちゃうか!?と言いたくなる、悲しい現実を突きつけてくる本2022/03/11
ががが
4
フェイクニュースの発生と拡散のメカニズムについて。旧来のマスメディア、新興のソーシャルメディア、そしてポータルサイトやまとめ記事などのミドルメディアをニュースを生成する構成員とし、転載や連携によってニュースが変質し、フェイク化していく構造を生態系として鳥瞰的に捉えている。事実を捻じ曲げてしまうフェイクニュースの温床となっているのはデジタルメディアに蔓延るページビュー至上主義で、ニュースの役割がエンタメに偏ってしまった結果とも考えられる。確かに陰謀論も娯楽として割り切って読めば面白いという話はわりと聞く。2023/03/02
ダンボー1号
4
恥ずかしながら「米国議会襲撃事件」そのものがフェイクだと思って スルーしてよく知らなかったが最近別の本でフェイクニュースから扇動された事件と聞き驚いたので読みたくなる。 数年前読んだ本に書かれていた言葉が生きてくる。 「人は自分が信じたい情報を真実だと思い 信じたくない情報は嘘だと思う」が金言であったし 「日本で起きていることは世界で起きる。世界で起きていることは日本でも起きる」 「日本の悪いところと外国のいいところを比較 日本のいいいところと外国の悪いところの比較 どちらかに偏らないように」2022/05/04
まおまお
4
ツイッター保守派ネット右翼とカテゴライズされている方々の名前(アカウント名)が次々とフェイクニュースの発信者として挙げられていたのが印象的だった。ビジウヨから政治スタンス、メディアの思惑、そして正しさを求めるあまりフェイクをまじめに拡散し続けているアカウントなど、フェイク発信する動機はざまざまである。それらにどう対応したらよいか?そのニュースを見ただけで胡散臭いと判断できる人はいいが、なぜかフェイクしか信じる能力がないひともかなりの割合存在している。しかもその元凶が構造構築する権力者側なのでやっかいだ。2021/12/08
K.C.
3
編著者がラジオに出演して知る。内容には大変不満(もちろん編著の内容にではない)。タイトルのとおり「生態系」として循環関係があり、そこにしっかりマスメディアが一枚かんで、マスメディアの質の劣化がフェイクニュースを増殖させている結論。解説もない「こたつ記事」が一般紙にも出てくるご時世だからこそ、マスメディアの人にも読んで欲しい一冊。2022/02/23