出版社内容情報
年間3万人超え、10年以上続いた日本の自殺増加は何だったのか。
なぜ、1998年からの日本の自殺増加の中心は中高年男性だったのか。
なぜ、2000年以降、中高年の自殺が減っても、若者の自殺は減らないのか。
なぜ、日本の女性や若者の自殺率は、他の先進国と比べてとくに高いのか。
社会の自殺率は、何によって変化するのか。
自殺研究は、いまも貧困や失業、離婚、病気、争いごとなどに自殺リスクの原因を求めがちだが、自殺は高度に社会的な現象でもある。自己本位や愛他、規範崩壊、宿命などの個人的な事情に押し込めずに、隠されている背景や事情を究明する必要がある。
そのために、自殺率統計も援用しながら、ゴフマンが提起する自己イメージ(体面=フェイス)の概念をデュルケムと関連づけて考察し、デュルケムの『自殺論』を現代に適用して分析する。
孤立や社会的排除など、個々人が集団や組織から切り離されたいま、個々人がどんな社会関係にも参入できる自己イメージをもつことが必要だ、と提起する新しい「自殺の社会学」。
目次
第1部 デュルケムの視点からみる日本の自殺
序 章 東日本大震災後の日本の自殺をめぐって 大村英昭
第1章 日本自殺における自殺の概観 大村英昭
第2章 デュルケムの自殺論の概説 大村英昭
第3章 『自殺論』と現代の自殺――現代の自殺にどう生かせるか 阪本俊生
第4章 社会変化と自殺率――19世紀と20世紀 阪本俊生
第5章 国際比較からみる現代の日本の自殺 阪本俊生
第2部 自己イメージ(体面=フェイス)ロスの視点からみる日本の自殺――表層からの自殺論
第6章 役割期待と自殺 大村英昭
第7章 若年層における雇用不安定化と自殺 平野孝典
第8章 スティグマと自殺 阪本俊生
第9章 岡檀『生き心地の良い町』にみるフェイスと自殺 阪本俊生
第10章 フェイスと自殺の諸相 阪本俊生
第11章 自殺とフェイスについて――社会変化と社会学の視点 阪本俊生
内容説明
自殺は高度に社会的な現象である。したがって、自殺を考察するためには、個人的事情の背後に隠された要因の究明が必要である。自殺率統計を援用しながら、ゴフマンが提起する自己イメージ(体面=フェイス)の概念をデュルケムと関連づけて考察し、デュルケムの『自殺論』を現代に適用して分析する。
目次
第1部 デュルケムの視点からみる日本の自殺(東日本大震災後の日本の自殺をめぐって;日本における自殺の概観;デュルケムの『自殺論』の概説;『自殺論』と現代の自殺―現代の自殺にどう生かせるか;社会変化と自殺率―19世紀と20世紀;国際比較からみる現代の日本の自殺)
第2部 面子(フェイス)ロスの視点からみる日本の自殺―表層からの自殺論(役割期待と自殺;若年層における雇用不安定化と自殺;スティグマと自殺;岡檀『生き心地の良い町』にみるフェイスと自殺;フェイスと自殺の諸相;自殺とフェイスについて―社会変化と社会学の視点)
著者等紹介
大村英昭[オオムラエイショウ]
1942年生まれ、2015年没。大阪大学教授や関西学院大学教授などを歴任した。専攻は臨床社会学、宗教社会学
阪本俊生[サカモトトシオ]
1958年生まれ。南山大学経済学部教授。専攻は理論社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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