ブルマーの謎―“女子の身体”と戦後日本

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ブルマーの謎―“女子の身体”と戦後日本

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  • サイズ B6判/ページ数 201p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787234100
  • NDC分類 780.13
  • Cコード C0036

出版社内容情報

ブルセラブームを契機に批判を受け、1990年代以降に学校現場から姿を消したブルマーは、なぜ60年代に一気に広がり、30年間も定着・継続したのか。資料探索や学校体育団体・企業への聞き取り調査から、普及のプロセスと戦後日本の女性観の変容を明らかにする。

はじめに



第1章 ブルマーの謎と来歴

 1 ブルマーの謎

 2 ブルマーの日本への導入と変容



第2章 密着型ブルマーの普及と風説

 1 密着型ブルマーの普及速度

 2 普及と消滅に関する諸説とその検討



第3章 中体連とブルマー

 1 暗中模索

 2 推薦と協力金

 3 中学校体育連盟



第4章 全国中体連の設立と変貌

 1 都道府県中体連の設立

 2 文部省のやり方

 3 スポーツ大日本派

 4 敗戦後の期待と落胆

 5 全国中体連の誕生

 6 オリンピックの東京開催決定

 7 すべてはオリンピックのために

 8 東京大会の屈辱



第5章 密着型ブルマーの普及過程

 1 奇策

 2 営業努力と信頼関係



第6章 密着型ブルマー受容の文化的素地

 1 女子身体観の変容

 2 スカートの下のブルマー



第7章 密着型ブルマーの消滅過程

 1 性的シンボルとしてのブルマー

 2 セクハラ概念の浸透

 3 代替物の発見



第8章 ブルマーの時代

 1 三十年間への疑問

 2 シンガポール日本人学校のブルマー強制問題再考

 3 純潔教育の心情

 4 「女子学生亡国論」の心情

 5 道徳としてのブルマー



参考文献一覧





あとがき

山本 雄二[ヤマモト ユウジ]
1953年、愛知県生まれ。関西大学社会学部教授。専門は教育社会学。共編著に『基礎社会学』(世界思想社)、共著に『〈教育〉を社会学する』(学文社)、『クイズ文化の社会学』(世界思想社)、翻訳書にジョン・フィスク『抵抗の快楽』(世界思想社)など。

内容説明

ブルマーはなぜ広まり、定着したのか―綿密な資料探索と学校体育団体やメーカーへの聞き取り調査を通して、ブルマー普及の足取りを追う。ブルマーは導入当初から性的なまなざしにさらされてきた。にもかかわらず、学校現場で存続してきた「謎」を解き明かし、戦後日本の女性観の変容と軋轢を浮き彫りにする。

目次

第1章 ブルマーの謎と来歴
第2章 密着型ブルマーの普及と風説
第3章 中体連とブルマー
第4章 全国中体連の設立と変貌
第5章 密着型ブルマーの普及過程
第6章 密着型ブルマー受容の文化的素地
第7章 密着型ブルマーの消滅過程
第8章 ブルマーの時代

著者等紹介

山本雄二[ヤマモトユウジ]
1953年、愛知県生まれ。関西大学社会学部教授。専門は教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふぇるけん

21
HONZで一時期話題になっていた本書。密着型ブルマーの登場から衰退まで、時代背景とともに深掘りした一冊。『なぜこのテーマを?』という当然の疑問は棚上げして、ブルマーの謎に対するあくなき探求心に敬服するのみだ。制服などは体型がわかるようなものはNGだったのに、それに真向から対立するようなブルマーがこれほど広まったのも驚きだし、レギンスのように下着が見えなくても上から短いスカートのような布がないと恥ずかしいという羞恥心の概念なども納得。残念ながら、この話題を他の人たちと共有する機会はなさそうだが。2018/05/28

T.Y.

19
パンツ型のいわゆる密着型ブルマーはなぜ急速に普及し、急速に消滅したのか。巷にある風説を解体し歴史の「なぜ」に挑む。見えてきたのは中学校体育連盟(中体連)が財源確保のため尾崎商事・葵と提携した事情……。東京五輪前後のスポーツ立国論も絡む中体連の変容過程といい、この編の解明はなかなかスリリング。ブルマーの消滅もセクハラ概念の普及と結びつけて論じられる。他方でブルマー普及を支え、また学校現場をそれに固執させた「心情的」背景も興味深くはあるが、大分エビデンスは弱くなる。さらなる議論が待たれるところである。2017/07/28

クサバナリスト

16
いつの間にか見なくなったブルマー。社会学者が研真面目に取り組んでおり、その歴史を諸説を、色んな文献から推察したところは正しく研究成果である。漫画ドラゴンボールにブルマという女性が登場するのも80年代なかばのブルマー全盛時。今、ドラゴンボール新作アニメを息子が真剣に観ているが、ブルマの名前がどこからきてるのか知らないだろうな?今度、知ってるかどうかきいてみるか?2017/03/10

marumo

14
60年代後半から90年代前半、突如現れ唐突に消えたらしいブルマーの謎。予想通りだけど、やっぱりお金絡み。結構なページ数が中体連、中振連の成立とお財布事情に割かれています。そしてブルマー強要イコール「セクハラ」が成立してからの即効終了。文章がダラダラしてるので、かなりの飛ばし読みだけど、多分そんな流れ。私はモロにブルマー世代。当時何とも思わずブルマーを着用してたわね。今思うとなぜ平気だったのか我が事ながら不思議でならないけど。2024/02/18

マカロニ マカロン

13
個人の感想です:B。以前の「ちょうちんブルマー」は1966年頃から中学校で「密着ブルマー」が普及し始め、68年から高校にも波及。その後、92年ころからハーフパンツへの移行が始まり、2000年までには学校の女子体操着としてはほぼ消滅した。約30年間「お尻に密着してほぼ下着と変わらないものを女子生徒に着用させること」が「ほとんど無頓着に導入」された背景は東京五輪による女性の身体への価値観の変容と、その裏に戦後のスポーツ振興を狙う「組織的関与」で全国中体連の資金難とそこに乗った企業の協働による波及効果があった。2017/03/31

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