出版社内容情報
「食べる」という日常生活を取り囲む社会的・経済的・政治的な背景を解きほぐし、不安とリスクコントロールを迫る科学言説の問題性に切り込む。食の安全・安心をめぐるリスクコミュニケーションの限界と可能性を照らし出し、食をめぐるリテラシーを提言する。
はじめに
第1章?食とリスクのマトリクス
1 〈権利/手段としての健康〉の棄損、〈責務/目的としての健康〉の推進
2 新自由主義のもとでの戦略としてのヘルスケア
3 食のリスクをめぐる関心と不安の高まり――政策技術の変容
4 食とリスクのマトリクス
第2章?食べることと知識
1 食べることについて社会学で扱うということ
2 リスク論の系譜
3 リスク論におけるカルチュラリズム
4 人々の知識という問題圏
5 状況づけられた解釈――私にとっての真理
第3章?市民とは誰か
1 シティズンシップをめぐる規範性の問題
2 上から権威づけられたシティズンシップと「よき市民」
3 非市民の構築――規範性?の困難
4 見えない恐れへの連帯は可能か
第4章?テクノフーズの氾濫――科学を食べなさい
1 私たちは本当にそれを欲していたのか
2 テクノフーズ誕生の歴史的背景
3 「三次機能」が(ヒト生体に対してではなく)社会的に機能するための条件
4 テクノフーズへの期待が高進する二十一世紀
5 「科学的精度」ではなく「言説的精度」の問題
6 私的領域の問題としてではなく
第5章?リスク“ディス”コミュニケーション――正しく食べなさい
1 「食べてはいけない」と風評被害
2 事実経過
3 実際にはどのように報じられたか
4 リスク“ディス”コミュニケーションの本質
5 〈現在化した未来〉における変更可能性
6 政策・技術としてのリスクコミュニケーション
7 〈現在化した未来〉で負わされる責任
第6章?永遠のゼロリスクと禁断のゼロリスク――正しく消費しなさい
1 消費者市民社会の狭隘さ
2 禁断のゼロリスクと科学的正しさイデオロギー
3 対立的に語られる科学と価値
4 リスクをめぐるコミュニケーション
5 隷従と忖度を超えた胃袋の連帯は可能か
おわりに
柄本 三代子[エノモト ミヨコ]
宮崎県生まれ。東京国際大学准教授。専攻は文化社会学、消費社会論、メディア論。著書に『リスクと日常生活』(学文社)、『健康の語られ方』(青弓社)、共著に『ニュース空間の社会学』(世界思想社)、『〈つながる/つながらない〉の社会学』『いのちとライフコースの社会学』(ともに弘文堂)、『文化としてのテレビ・コマーシャル』(世界思想社)、『健康ブームを読み解く』(青弓社)など。
内容説明
健康食品、遺伝子組み換え食品、ヘルスケア産業、トクホ、マグロ水銀報道、水俣病、BSE、中国冷凍餃子、セシウム濃度…。「リスクコントロールをして正しい市民たれ」と私たちに迫る科学言説の問題性に切り込み、食の安全・安心をめぐるリスクコミュニケーションの限界と可能性を照らし出す。
目次
第1章 食とリスクのマトリクス
第2章 食べることと知識
第3章 市民とは誰か
第4章 テクノフーズの氾濫―科学を食べなさい
第5章 リスク“ディス”コミュニケーション―正しく食べなさい
第6章 永遠のゼロリスクと禁断のゼロリスク―正しく消費しなさい
著者等紹介
柄本三代子[エノモトミヨコ]
宮崎県生まれ。東京国際大学准教授。専攻は文化社会学、消費社会論、メディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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