内容説明
国家とはどういう集団で、どういった機能をもち、社会や経済、政治、私たちの生活とどういう関係にあるのか。「国家とは何か」という基本的な疑問からナショナリズム・社会福祉・グローバル化といった現代的な課題までをレクチャーする概説書。読書案内つき。
目次
国家とは何か―その能力と作用
国家と暴力
国家と官僚制
国家と戦争―国家形成における軍事的・財政的要因
国家と正当性―「象徴暴力」と公共性
国家と社会―社会の「国家帰属化」
国家と統計(学)
国家とナショナリズム
国家と資本主義経済
国家と民主主義
国家と社会福祉
国家のグローバル化
脱植民地化と「崩壊国家」―アフリカ国家論の観点から
グローバル化のなかの国家
国家の現在、国家の将来
著者等紹介
佐藤成基[サトウシゲキ]
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中途退学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院修了、Ph.D.(社会学)。法政大学社会学部教授。専攻は比較ナショナリズム研究、歴史社会学、社会学理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masabi
15
国家を社会学の知見からまとめたもの。国家とナショナリズムの関わり、国家の定義など筆者のオリジナルというよりは概論であり、より深く学びたい人に読書案内がついているのでありがたい。英語が読めると読書の幅が広がると思うと悔しいものがある。すべてが翻訳されるわけでもない。2015/02/12
かんがく
12
「国家」をテーマに、資本主義、民主主義、グローバル化、社会福祉、戦争など幅広い内容について学説を整理しており、これ一冊で国家を巡る議論にある程度理解を深めることができる。読書案内なども付いていて教科書としても使えそう。2024/04/07
politics
5
国家を、暴力の独占的行使、資源の強制的徴収及び再分配機能、上記二つを正当なものと承認させる能力を持つものと定義し、ナショナリズム、社会福祉、グローバル化などとの関連を考察した好著。特に国家と戦争の章は勉強になった。また本邦ではしばしば「国民国家」虚構論の議論が多く見られるが、著者はあくまで国家を「独特な実在」と捉えている点も注目に値する。著者も述べられている通り日本への言及はあまり無いが、本書を利用すれば日本への分析にも大いに利用可能だろう。2021/01/09
ぽん教授(非実在系)
3
意外にも類書があまり見当たらない、国家を社会学的議論の教科書。福祉やグローバリゼーション、統計化やマルクス主義などをこうした切り口で読むことはあるが断片的になりやすいので、整理に大変役立つ。教科書的に穏当な概説だがテイストがないわけではなく、著者は新自由主義とマルクス主義には懐疑的な印象がある。2020/05/06
Hisashi Tokunaga
2
国家論を社会学という立場で丁寧に記述した15章仕立ての純教科書風。随所に著者の見解が挟み込まれて初学者には非常に有益な書ですね。2015/02/08