内容説明
多くの変化・出来事・事件があったにもかかわらず、内実を語ることばを見つけられないフラットな時代=「平成」に漂う「わからなさ・手応えのなさ」と正面から向き合い、「平成」を捉えるための視点とことばを獲得せんともがきながら思考する姿を見せ、その愉快を宣言する。「平成的とはどのようなことか」に迫る、天皇制論抜きの異色の元号・現代社会論。
目次
序章 『「平成」論』とは何か
第1章 「平成的」な経済
第2章 歴史としての「平成」
第3章 「文学」における「平成」
第4章 「平成時代」のニュース
第5章 「平成批評」の諸問題
終章 『「平成」論』とは何か再び
著者等紹介
鈴木洋仁[スズキヒロヒト]
1980年、東京都生まれ。2004年、京都大学総合人間学部卒業、同年、関西テレビ放送入社、10年、ドワンゴを経て、現在は、東京大学大学院学際情報学府博士課程、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属共生のための国際哲学研究センター(UTCP)研究協力者(独立行政法人国際交流基金勤務)。専攻は歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
19
まだ天皇様がご存名で失礼かもしれないな。歴史社会学の中で平成を位置づけたかったのだろう。幻冬舎新書の政治や経済のはあったが、社会版といった趣だろうか。平成社会史としては、軽さがある。わたしよりも若い研究者だからだろう。天皇を抜きにした、とある(裏表紙)のが独自性かもしれないが、何かが足りない気もする。私の研究分野では中山間だけを平成に限って扱ってもなにかその前の昭和時代を踏まえないとしっくりこないようなものだ。だから、本書も昭和時代を踏まえる必要もある。 2014/11/10
今Chan
4
朝日新聞の書評を見て興味を持ち購入した。平成という時代は、全体を表す決定的な言葉を持たない、捉えどころのない時代ではないかとする主張は、おもしろかった。「コミュニケーションが濃密で繊細になったために、コミュニケーション不全が感じられやすくなった」とか、「ムラのような古い共同体の作法に則って、空気を読み、場をわきまえて、キャラをつくらなければならない」とか、散りばめられたこの時代の形容に肯ける部分が多かった。幕末や明治や昭和の人たちのように、我々は時代を生きるための支柱を抱けないでいるのかもしれない。2014/07/11
ありんこ
2
平成の文学について興味を持ち、読んでみました。平成という時代は、昭和や明治などのように、○○派という分類ができないと書いてありました。ネットなどの普及によって、自分の興味対象についてひたすら言葉を積み重ねる(小説に限らず)態度が「平成的」ということでした。少しもやっとしたまま終わりましたが、そういわれるとそうかもしれませんね。まだ平成の文学を数多く読んだわけではないので、これからも話題作を読んでみようと思います。2021/08/15
霧
2
社会学自体の力が衰えているように感じられる現在、歴史社会学の立場から平成を語るのは容易ではない。 国家権力と天皇制が結びつくレベル、また国民全体が共有する経験がないと、なにかわかった気にはならないのかもしれない。あるいは平成期の日本と比較対象となるものをとことん煮詰めていくか。。 著者曰くわからないことがわかるのが大事だというが、むしろ本書で感じたのは、時代に対してタームを作ってきた人間の創造力(データベースですら)である。 2016/05/02
takao
1
ふむ2020/10/04