内容説明
AKB48、ももクロ、『あまちゃん』などに象徴されるように、アイドルが一過性のブームではなく、ある種の文化として根づきつつある日本社会。ファンにとどまらず多くの人々がアイドルをときに熱く、ときに冷ややかに語るが、過剰な語りの渦に巻き込まれて、私たちは彼女たちの魅力をつかみ取れなくなってはいないだろうか。本書ではまず、アイドルという言葉の意味が多様であるにもかかわらず、「アイドルらしさ」のイメージは社会で共有されているという奇妙な状況を確認する。そして、アイドルたちが「らしさ」との距離をとりながら「アイドルらしからぬ」「アイドルを超えた」パフォーマンスを見せ、ときにはあえて「らしさ」を体現して、SNSや「現場」で通じてファンと共同で今日的なアイドル像を更新している現状を観察する。そのうえで、SNSや現場でパーソナリティを掛け金として絶えず開示するアイドルと、彼女たちに承認欲求などを投影するファンとのコミュニケーションの往還が「アイドルという芸能ジャンルの特性」だと分析する。アイドルをめぐる言説を冷静に見定め、アイドルを語る言葉をバージョンアップする文化批評。
目次
第1章 アイドルという言葉(「国民的」か「一部の熱狂」か;誰でも語りうるものとしてのアイドル;何がアイドルと呼ばれるか;「アイドル」の不確かさ)
第2章 アイドルらしさをめぐって(アイドルの語りやすさ;アイドルの主体;“操り人形”としてのアイドルの歴史;「アイドルになる」を選び取ること;「アイドルらしさ」とは何か)
第3章 音楽としての「アイドルらしさ」(“低級”音楽としてのアイドル;アイドルのパーソナリティと音楽性;「アイドルらしからぬ」は更新されるか)
第4章 アイドルの「虚」と「実」を問い直す(「饗宴」から考える;アイドルのパーソナリティがコンテンツになること;「表」と「裏」の狭間にあるもの;人格を承認しあうコミュニケーション;ネガティブさを捉え返す契機)
第5章 「場」としてのアイドル(本書の要旨―アイドルとは何か;アイドルと恋愛;饗宴としてのアイドル)
著者等紹介
香月孝史[カツキタカシ]
1980年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。専攻は文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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たま
静かな生活
72ki
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