日本の精神医療史―明治から昭和初期まで

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  • サイズ A5判/ページ数 206p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784787233349
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0036

内容説明

明治期の西洋医学の導入以降、精神病者の治療・保護・監視に関する法律が制定され、精神病院が作られていった精神医療史を追い、『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』を精読する。呉秀三やそのほかの医師や政治家の動向に光を当て、朝鮮半島での精神医療の広がりなども明らかにしながら精神医療史を丁寧にレクチャーする。

目次

序章 日本の精神医療の歴史―明治から大正
第1章 人々は精神病をどう見ていたのか―『精神病者私宅監置ノ実況及び其統計的観察』を読む
第2章 近代期朝鮮半島の精神医療史―プサンを例に
第3章 朝鮮半島初の精神科病棟―大邱、ソウル
第4章 日本の精神医療と西洋医学―朝鮮半島を例に
第5章 精神科病院建設への道
第6章 隔離拘束の問題点
終章 『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』を改めて読む

著者等紹介

金川英雄[カネカワヒデオ]
昭和大学医学部・慶應義塾大学文学部を卒業。昭和大学大学院医学研究科博士課程修了。昭和大学付属烏山病院、昭和大学医学部助手を経て、東京武蔵野病院勤務、現在、外来部長。前帝京平成大学客員教授、聖母大学、東京家政大学兼任講師、現在了徳寺大学兼任講師。精神保健指定医、医学博士、日本病跡学会理事など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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またの名

14
古本屋で手にした精神科の教科書から影響を受けて医師になった東大教授の秋元氏は、アメリカ留学中に発病し被害妄想のため同僚医師を射殺したこの教科書の著者を主治医として看ることになる。ときに精神病の妄想それ自体よりも奇妙なエピソードがあったりする歴史の断片を切り出した本書で興味深いのは、面白エピソードがとりわけて多くもない大部分の箇所が朝鮮半島における医療活動と交錯して記述されてること。だから題名は『日本と朝鮮半島の精神医療史』でもいいぐらいで、コレラ患者の隔離拘束時に植民地主義的混淆が生んだ問題に論述を収束。2017/11/02

gtn

12
明治から昭和初期まで法に基づき存在した「私宅監置」という名の座敷牢。その主眼は、精神病者の「治療」ではなく「隔離」であった。そのため、保護者である近親者が貧しかったり、高齢の場合、その患者はほったらかし。何年も風呂にも入れてもらえず、満足な食事もなく、畳さえない土間に横たわる。その先にはそう遠からぬ死が待っている。環境は改善されたとはいえ、重症者の隔離は病院において今に続く。 2018/11/12

更紗蝦

7
タイトルは『日本の精神医療史』ですが、医学的な話よりも、民俗学的な話の方が多いです。日本の中の話だけにとどまらず、日本が韓国の医療施設の発展に与えた影響についても詳しく書かれています。この本の中にたびたび名前が出てくる東京帝国大学・精神科教授の呉秀三氏は、おそらくは夢野久作の『ドグラ・マグラ』の正木教授のモデルではないかと思われます。2013/11/11

sabato

4
もう興奮して読んでしまった!呉秀三の『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』(1918年)は、一般的には「私宅監置はけしからん!精神病院作れ!」と訴えた報告書と学んでいたが、実はそんなマイナスな側面だけではなかった!ということをものすごく細かく分析した内容。当時(明治初期)の日本の様子や、家族看護の実態事例が新たに分析、現代語訳にされていて学びななおすことができた。修士論文執筆の時に読めていたらまた違った書き口になっていたかもしれない(いや、論点ズレてくるかw)福祉系の修士1年、または卒論にぜひの1冊。2013/10/31

Asakura Arata

1
かつての日本の「私宅監置」(座敷牢)の実情が分かって興味深い。今も昔も、必要悪の処置だよな。精神科医として、あえてそれをやらねばならない悲しさと葛藤を持ち続けたいもんだ。しかし精神医療と警察って微妙な間柄ではある。 朝鮮半島での話に紙面の大半が割かれているところが興味深い。2013/07/15

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