オカルトの惑星―1980年代、もう一つの世界地図

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オカルトの惑星―1980年代、もう一つの世界地図

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  • サイズ B6判/ページ数 263p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787232977
  • NDC分類 147
  • Cコード C0036

出版社内容情報

UFO、宇宙人、秘境、ニューエイジ、超古代史論争、土偶=宇宙人説……。1980年代、高度成長を背景にオカルトはテレビや雑誌などに取り上げられ、人々の心を引き付けていた。それらブームを取り上げて怪異現象の魅力を解説し、80年代の日本の熱狂に迫る。

はじめに 吉田司雄

第1部 オカルトの水脈――一九六〇年代から八〇年代へ

第1章 美しい地球の〈秘境〉――〈オカルト〉の揺籃としての一九六〇年代〈秘境〉ブーム 飯倉義之
 1 一九六〇年代の〈秘境〉と「学術調査」
 2 大衆娯楽としての「海外学術調査」
 3 〈秘境〉をつくった男たち
 4 “書斎の探検家”の〈秘境〉の歩き方
 5 〈秘境〉はあなたの心の中に――オカルトから精神世界へ

第2章 オカルト・ジャパンの分水嶺――純粋学問としての人類学からの決別 金子 毅
 1 オカルトの揺籃としての人類学
 2 共振するオカルトと探検
 3 蜜月状態とその解消

第3章 邪馬台国と超古代史 原田 実
 1 新たなる志向
 2 「帝国」の逆襲
 3 時代の帰還
 4 見えざる脅威
 5 苦労な攻撃、地図の復習

第2部 地球の午後――一九八〇年代オカルトの地平

第4章 デニケン・ブームと遮光器土偶=宇宙人説 橋本順光
 1 古代宇宙飛行士飛来説=宇宙考古学の系譜
 2 遮光器土偶=宇宙人説
 3 ポピュラー・カルチャーのなかの「宇宙考古学」

第5章 シャンバラへの旅――八〇年代日本の危うい夢 宮坂 清
 1 アガルタの首都シャンバラ
 2 多彩な表象
 3 チベットに回帰するシャンバラ
 4 精神世界の救世主へ
 5 チベット人ディアスポラとカーラチャクラ

第6章 台湾のオカルト事情 伊藤龍平
 1 『小叮●(口偏に當)』と『●●(口偏に多+口偏に拉)A夢』
 2 日本文化がオカルトであった時代
 3 トンデモ本的思考

第7章 バブルとUFO 谷口 基
 1 「SF元年」と八〇年代日本の「UFO熱」
 2 救世主(ルビ:メシア)としての宇宙人像――『大予言』とともに
 3 良き隣人としての宇宙人――〈癒し系〉の先蹤
 4 UFOアブダクションと性的妄想
 5 恋人としての宇宙人――〈宇宙エロティシズム〉、その後の展開

第3部 日常化するオカルト――一九八〇年代から九〇年代へ

第8章 児童虐待とオカルト――一九八〇年代女性週刊誌における猟奇的虐待報道について 佐藤雅浩
 1 「児童虐待」報道の戦後史――一九八〇年代後半の記事数の増大
 2 一九八〇年代後半の猟奇的な海外の虐待報道
 3 隠された児童虐待の系譜――悪魔儀礼虐待と悪魔カルト
 4 日本での児童虐待問題の変容
 5 一九八〇年代後半の女性週刊誌というメディア空間――児童虐待報道とオカルト記事の交錯

第9章 かくも永き神の不在に、セカイを語るということ 小林 敦
 1 不可触なる中枢
 2 ある王の死と偽王の死と
 3 《物語》進化論
 4 世界の終りのアンダーグラウンド
 5 《物語》は続く

第10章 カリフォルニアから吹く風――オカルトから「精神世界」へ 一柳廣孝
 1 オカルトブームと「科学」の揺らぎ
 2 ニューサイエンスという「思想」
 3 八〇年代の新宗教と日本の雑誌メディア
 4 カリフォルニアから風が吹く

ネス湖への旅は終わらない――あとがきにかえて 吉田司雄

内容説明

UFO、宇宙人、ネッシー、秘境、ニューエイジ、超古代史論争、土偶=宇宙人説…。80年代、圧倒的な経済成長を背景にオカルトはテレビや雑誌などのメディアに取り上げられ、人々の心を引き付けていた。それらブームを具体的に取り上げながら、怪異現象の魅力を存分に描く。

目次

第1部 オカルトの水脈―一九六〇年代から八〇年代へ(美しい地球の「秘境」―「オカルト」の揺籃としての一九六〇年代「秘境」ブーム;オカルト・ジャパンの分水嶺―純粋学問としての人類学からの決別;邪馬台国と超古代史)
第2部 地球の午後―一九八〇年代オカルトの地平(デニケン・ブームと遮光器土偶=宇宙人説;シャンバラへの旅―八〇年代日本の危うい夢;台湾のオカルト事情;バブルとUFO)
第3部 日常化するオカルト―一九八〇年代から九〇年代へ(児童虐待とオカルト―一九八〇年代女性週刊誌における猟奇的虐待報道について;かくも永き神の不在に、セカイを語るということ;カリフォルニアから吹く風―オカルトから「精神世界」へ)

著者等紹介

吉田司雄[ヨシダモリオ]
1957年、東京都生まれ。工学院大学教員。専攻は日本近代文学、文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

29
なぜ「オカルト」だったのか。「隠されたもの」としてのオカルトに夢中になっていた時代の日本は、繁栄を極めているようで、実は世界の限界に気がついてしまった時代なのではないか。それこそが新しい未開拓の世界としての超常現象に惹かれていった理由ではないだろうか。紹介された現象はどれも時代の空気に満ちていて、うなづける反面、とりとめのなさも感じる。オカルトブームはもう来ないかもしれないが、だからこそ、その時代の記録として、とりとめのなさを記録しておく必要があると思える。2014/06/04

サイバーパンツ

11
『オカルトの帝国』からの続きで、80年代オカルトを分析した評論集。まず60年代秘境ブームをオカルトの起源と見ているのが面白い。「児童虐待とオカルト」は女性誌で児童虐待が残虐性を強調してオカルト的に描かれることをテーマにしており、これは新しい視点だったので、なるほどなあと思うと共に、ヤバい時代だなぁとも。個人的には、ニューアカや90年代にも関係すると思うので、混沌としていた70年代オカルトがニューサイエンスという形で統合されていく過程に一番興味が湧いた。全体的にとりとめがないが、前作より面白い。2018/01/06

kenitirokikuti

8
図書館にて▲1963年、科研費に海外学術調査が通る。翌64年、海外旅行自由化。今西錦司の探検・登山から大陸書房(『失われたムー大陸』)や『川口浩探検隊』(1977〜)となる。海外旅行の時代になると、秘境幻想はオカルトや精神世界になってゆく▲世界遺産とデニケン。ナスカの地上絵とかマヤの遺跡などをメジャーにしたのはデニケンブームのせいである。デニケン流の宇宙考古学は、『三つ目がとおる』(1974〜78)など手塚治虫が古くから取り入れている。石森009も、神々との闘い以降は超古代ネタが多い。頂点はラピュタだが…2021/02/23

mittsko

6
一柳グループ、通称「オカ研」の成果第二弾、『オカルトの帝国』続編。文句なしに!全編おもしろく通読に値する一書なのだが、編者の吉田先生もおっしゃっているように、論文集としては少々散漫かも。 ※ 佐藤雅浩「児童虐待とオカルト:一九八〇年代女性週刊誌における猟奇的虐待報道」には蒙を啓かれた。80年代日本における「児童虐待とオカルト」…この切り口は全く念頭になかった。「悪魔カルトによる児童虐待」という米国のトンデモ恐怖症が、日本に直輸入されてたんですね。知らなかった、びっくりして興奮した2023/08/21

カスタムさん

2
前著にあたる「オカルトの帝国」が読みたかったが古本で17000円と高騰してるので、こちらを購入。オカルトを社会史的に研究した本で好感が持てる。オカルトブームの始まりを60年代の秘境ブームに求めているのなるほどと思った。また、「オカルトと児童虐待」という章は、女性誌がオカルト的論調で海外の虐待事件をおどろおどろしく取り上げたことをテーマとし、「虐待」というワードを先取りして使用していたことが語られており、かつてない視点。第3弾も企画されているらしいが、是非オカルトとナショナリズムの関係も取り上げて欲しい2015/10/22

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