出版社内容情報
女性もさまざまな形態で動員した第二次世界大戦という総力戦。ソ連、アメリカ、日本での女性動員の問題を、女性性=母性、娼婦性=従軍慰安婦、労働力としてだけではなく、兵力としての動員という窓から、軍隊と軍隊を生み出す国家や社会の特性を明らかにする。
はじめに――なぜ女性兵士創出を問うのか
第1章 総力戦でのナショナリズムとジェンダーの力学
1 総力戦とは
2 ナショナリズムとジェンダーの力学
第2章 総力戦での女性動員
1 母性の動員
2 労働力の動員
3 娼婦性の動員
4 兵力の動員
第3章 ソ連での女性兵士創出
1 陸海軍およびパルチザンの女性兵士
2 女性航空連隊設立の経緯と活動
3 ソ連の女性兵士の特徴
4 戦闘領域への女性の進出の推進力は何か
5 女性兵士創出と女性表象の乖離
第4章 アメリカでの女性兵士創出
1 女性兵士創出をめぐる賛否両論
2 女性兵士の実態
3 アメリカの女性兵士の特徴
4 アメリカの女性兵士創出をめぐる二つの疑問
第5章 日本での女性兵士創出
1 国民義勇隊および国民義勇戦闘隊の結成の経緯と実態
2 国民義勇隊および国民義勇戦闘隊の先行研究とその論点
3 国民義勇戦闘隊の従来路線からの断絶と連続
4 日本の女性兵士の特徴
5 ポスター表象における軍隊と女性
第6章 三国の女性兵士創出の類型化
1 二つの
内容説明
第二次世界大戦という総力戦は、女性もさまざまな形態で動員した。正規軍兵士として急降下爆撃機に乗り込んで戦ったソ連の女性兵士、正規軍でありながらも非戦闘員=後方支援に限定されたアメリカ、そしてこの二国とは異なり、17歳から40歳までの女性を戦闘隊に編入する義勇兵役法を敗戦まぎわに成立させ、生産と竹槍を手にした戦闘をになう民兵=非正規軍として動員された日本―。ナショナリズムとジェンダーの力学が交差する総力戦という場を見据え、国家対国家の戦いを支える国民総動員と敵愾心とを扇動する戦時ポスターの表象分析も組み入れながら、女性の母性、娼婦性=従軍慰安婦、労働力だけではなく兵力としての動員という窓から、軍隊と軍隊を生み出す国家を考察する。
目次
第1章 総力戦でのナショナリズムとジェンダーの力学
第2章 総力戦での女性動員
第3章 ソ連での女性兵士創出
第4章 アメリカでの女性兵士創出
第5章 日本での女性兵士創出
第6章 三国の女性兵士創出の類型化
著者等紹介
佐々木陽子[ササキヨウコ]
1952年、東京都生まれ。小・中・高校の教員生活をへて、大学に再入学。現在、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士後期課程に在学中。国立看護大学校非常勤講師
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