出版社内容情報
ジェンダー再編を近代国家構築のために利用した日本。その渦中で女性たち自身は近代日本とどのように対峙してきたのか。国民国家幻想の成立過程を省察し、ジェンダーの共同幻想解体の可能性を問い返す、気鋭の論客9人の力のこもった論考集。
まえがき――〈女〉として語ることばへ 井桁 碧
1 「国家」と女の思想
(1)自由民権運動にかかわった女たちの国家観 奥田暁子
①はじめに
②女権の主張
③女性民権運動家の国家意識
④女性民権運動家の皇室観
⑤女性キリスト者のナショナリズム
⑥女権から良妻賢母へ
⑦むすびにかえて
(2)一八九〇年代における女性団体の動向――四大婦人会をめぐって 片野真佐子
①はじめに
②「四大婦人会」の周辺
③国家意識萌芽の諸相
④むすびにかえて
(3)「お国のため」に死ぬことと産むことと 加納実紀代
①はじめに――身捨つるほどの祖国はありや
②「お国のため」に死ぬ
③「お国のため」に産む
④おわりに――国家から人類へ
2 外部としての「日本」という国家
(4)近代中国女性と国家とのかかわり――ジェンダー的視点からの再検討の試み 前山加奈子
①はじめに
②前近代における中国女性と国家
③近代中国の女性と国家
④中国女性の国家意識
⑤五・四運動期における女性の国家意識
に
②国家幻想とジェンダー
③「発明された伝統」としての近代天皇制
④天皇家の身体
⑤女権論者・管野須賀子
⑥管野須賀子の闘い
⑦金子文子の軌跡
⑧金子文子の反逆の原点
⑨国家幻想は超えられるか
(9)戦争する〈国家〉――〈暴力〉とジェンダー 井桁 碧
①はじめに
②戦争する近代国民国家
③〈臣民〉の創出――〈暴力〉とジェンダー
内容説明
ジェンダー再編を近代国家構築のために利用した「日本」。そのなかで女性たち自身は国家としての近代「日本」とどのように対峙してきたのか。彼女たちの言説を検証しながら、国民国家幻想の成立過程を省察し、ジェンダーの共同幻想解体の可能性を問い返す論考集。
目次
第1部 「国家」と女の思想(自由民権運動にかかわった女たちの国家観;1890年代における女性団体の動向―四大婦人会をめぐって;「お国のため」に死ぬことと産むことと)
第2部 外部としての「日本」という国家(近代中国女性と国家とのかかわり―ジェンダー的視点からの再検討の試み;台湾の女性にとっての近代と国家―彰化婦女共励会の一年;近代朝鮮における「新女性」の主張と葛藤―洋画家羅〓錫を中心に)
第3部 国家とジェンダー(新宗教の女性教祖と日本近代国家;国家幻想を解体する女たち;戦争する“国家”―“暴力”とジェンダー)