出版社内容情報
売春を性的奴隷としてではなく性労働としてとらえなおしてみること──売買春からセックス・ボランティアまで性労働の歴史とその現場に定位しながら、欲望の物語を不断に再生産する資本制システムからの決定的な切断点をさぐる先駆的な試み。
1 プロスティテュート・ムーブメントが問うもの 田崎英明
(1)プロスティテュートの解放とは何か
①奴隷か労働者か
②「犠牲者化」に抗して
(2)セックスワークの概念――それとジェンダーの関係
①集団としての「プロスティテュート」の浮上
②生殖と快楽の分割以前へ
2 買春する身体の生産 金塚貞文
(1)経済行為としてのセックス
(2)価値としての「商品化されない性」
(3)オナニーする身体の生産
3 売買春と資本主義的一夫多妻制 小倉利丸
(1)売春に関するマルクス主義の古典的な解釈
①普遍的な身売りの特別な表現としての売春――問題の枠組み
②アウグスト・ベーベルによる二重規範の指摘
(2)売買春論の射程
①道徳的必要悪説批判――ハヴロック・エリスの場合
②「女の交換」――クロード・レヴィ=ストロースの場合
③資本主義における「女の交換」
④市場と権力
⑤違犯を引き受ける市場経済――ジョルジュ・バタイユの場合
⑥性欲の多型性とその抑圧――ジョン・マネーの所説
⑦性的異端の世俗化と家族にお>
5 労働としての売春と近代家族の行方 千本秀樹
(1)労働と売春の再検討
①売春スナックにおけるタイ人女性の実態
②労働概念の再検討
③売春と性の再定義
(2)近代家族と天皇制
①一夫一婦制と売春
②天皇制と売春
(3)「性労働の商品化」と「愛の解放」
①「性の商品化」ではなく「性労働の商品化」の視点を
②「性産業労働者を公務員に」
③「性の解放」から「愛の解放」へ
6 日本の性産業で働くタイ女性たち 渡辺里子
(1)インタビューの方法
(2)調査上の問題
①対象となるタイ女性への接近
②調査費用
③言葉
④情報の正確さ
(3)インタビュー結果
①本人の特性と家族状況
②タイでの職歴
③日本への出稼ぎ
④日本での労働条件
⑤母国とのつながり
⑥日本でのネットワーク
⑦日本人とのつきあい
⑧日本での生活
⑨将来の計画
(4)結び
①自律的な主体としての女性出稼ぎ労働者
②自ら闘う力をもつ女性たち
③タイ女性のネットワークと連帯<
内容説明
売春を性的奴隷としてではなく性労働として捉えること―売買春からセックス・ボランティアまで性労働の現場に定位しながら、欲望の物語を不断に再生産する資本制システムからの切断点をさぐる。
目次
第1章 プロスティテュート・ムーブメントが問うもの
第2章 買春する身体の生産
第3章 売買春と資本主義的一夫多妻制
第4章 快楽と生殖のはざまで揺れるセックスワーク―大正期日本を手がかりに
第5章 労働としての売春と近代家族の行方
第6章 日本の性産業で働くタイ女性たち
第7章 買売春と労働をめぐって―「下館事件タイ三女性を支える会」有志による座談会