出版社内容情報
「理解すること」の内実を探求する旅を重ねる人類学者が、はるかな異境で拾い集めた小さな物語の数々。言葉の力でその断片はみずからの近傍を問う思考へと接続され、旅の本質、生きることの叡知として発現する。爽快でスリリングな旅の試論集。
プロローグ ハンモック・リーディング
1 放浪の精神史
(1)シリコン・ヴァレーを砂漠にもどす
(2)放浪の至福
(3)赤い砂の大洋――ニューメキシコの「古き道」
(4)漂泊の理論――旅行者としてのカミーロ・ホセ・セラ
2 旅人の帰化
(1)チカーノになった中国人
(2)バイーアのフランス人
(3)風の花嫁―レオノーラ・カリントン
3 境涯の彼岸
(1)最後の水平線の彼方に
(2)他者の自伝
(3)ニコラス・ギリェンと混血語
(4)パレードが始まった
4 アドレセンスの連鎖
(1)夏のアドレセンス
(2)野生の実践
(3)ゾラ・ニール・ハーストンあるいは黒色の政治学
(4)思春期のフェミニズム
5 光の旅
(1)光学の旅人
(2)奪還された風景――ヴィム・ヴェンダースとサウスウェスト・フォトグラフィ
(3)遮る手
(4)そして船は土に還る――セバスチャン・サルガード
(5)砂漠のなかの埋葬――ジョエル=ピーター・ウィトキン
6 エフェメラの翳
(1)亡命と革命のまじわるところ――ラテンアメリ
内容説明
旅はつねに、行方なき言葉に道を与える。なぜなら人間の夢と記憶は、移動する旅人の意識のなかにすでに書き込まれてあるからだ。はるかな異境で拾いあつめた小さな物語の断片が、自らの近傍を問う思考へと接続される、爽快でスリリングな旅の試論集。
目次
プロローグ ハンモック・リーディング
1 放浪の精神史
2 旅人の帰化
3 境涯の彼岸
4 アドレセンスの連鎖
5 光の旅
6 エフェメラの翳
エピローグ 遠い挿話