出版社内容情報
ダンスホールの閉鎖やレコードの検閲、「健全」な娯楽の推奨などに顕著なように、満洲事変期からアジア・太平洋戦争期に至る戦時期には、政治や経済だけではなく、文化や日常生活が総力戦体制に組み込まれ、統制されていた。
帝国議会や各種委員会の議事録、文部省、内務省、警視庁、内閣情報部(のちの情報局)の資料、新聞報道などの歴史的な史料やエビデンスを丹念にたどり、国民精神総動員運動や厚生運動の内実、決戦非常措置要綱の狙いや背景などを解説しながら、戦時下の娯楽政策の全容と変遷を明らかにする。
統制や制約、あるいは自主規制や忖度などが入り交じるなかで、音楽・映画・演劇・文学・美術など、日常に欠かせない娯楽が戦争に否応なく動員され、ダンスホールやカフェなどの飲食業が転廃業や従業員の解雇を余儀なくされた実態を浮き彫りにする。
内容説明
満洲事変期からアジア・太平洋戦争期に至る戦時下の日本で、統制や自主規制、忖度などが入り交じるなか、音楽・映画・演劇・文学・美術などの日常に欠かせない娯楽が戦争に動員された。議事録や公文書、新聞報道を掘り起こし、総力戦体制下の娯楽政策の全容と変遷を明らかにする。
目次
第1章 戦時期の娯楽認識
第2章 満洲事変期の娯楽政策
第3章 日中戦争期の変遷
第4章 内閣情報部の娯楽政策
第5章 アジア・太平洋戦争期の内閣の文化政策
第6章 戦略的守勢から敗戦に至る文化政策
第7章 敗戦に至る娯楽政策
著者等紹介
戸ノ下達也[トノシタタツヤ]
1963年、東京都生まれ。立命館大学産業社会学部卒。都留文科大学・明星大学非常勤講師、日本大学文理学部人文科学研究所研究員、洋楽文化史研究会会長。専攻は近・現代日本の社会と音楽文化。また「音楽文化新聞―戦時期文化史資料“復刻版”」『厚生音楽資料全集―戦時期の音楽文化』(ともに金沢文圃閣)などの資料復刻や演奏会監修による「音」の再演にも注力している。第5回JASRAC音楽文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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