出版社内容情報
カッパ、カマイタチ、くねくね……私たちはなぜ、それらを妖怪と呼ぶことができるのか。私たちにとっては実在しない・超自然的である・俗信だから、だろうか。だが、ある時代や別の社会にとってみれば、妖怪はそのようなものではなかった。この食い違いは、どうすれば和らげられるだろうか。妖怪の概念をどのように書き換えていけばいいのだろうか。
妖怪を超自然的で実在しないものだとしてきた妖怪研究の存在論的前提を問い直すために、主に18世紀末から現代までの自然/超自然、宗教、近代/非近代をめぐる議論、日本の知識人の言説や思想、学知を渉猟して、それらと絡み合うなかで現代の妖怪概念が生成してきた過程を丁寧に分析する。
さらに、主要な妖怪を題材に、自然と文化、科学と俗信などの区分の構築とその限界を検証し、現代の私たちが想像してきた「非近代的存在論」に収まらない妖怪の記述の仕方を模索する。
妖怪と妖怪研究の関係性を存在論的転回の人類学の視点から批判的に検証する。そして、妖怪を超自然や非実在なものに還元せず、状況に応じて適切な概念でそのつど捉えていくことの重要性を指摘する。妖怪研究の再構築を試みる野心的な研究成果。
内容説明
カッパ、カマイタチ、くねくね…私たちはなぜ、それらを妖怪と呼ぶことができるのか。十八世紀末から現代までの自然/超自然、近代/非近代をめぐる議論、日本の知識人の言説や学知を渉猟して、現代の妖怪概念が生成してきた過程を丁寧に分析する。妖怪と妖怪研究の関係性を、存在論的転回の人類学の視点から批判的に検証する。
目次
妖怪学の存在論的前提
第1部 妖怪と超自然の近代(超自然概念をめぐる論争;妖怪の超自然;妖怪の近代)
第2部 妖怪の非近代的概念化(妖怪の文化;妖怪の科学;怪奇的自然)
妖怪学の原理
著者等紹介
廣田龍平[ヒロタリュウヘイ]
1983年生まれ。法政大学ほか非常勤講師。専攻は文化人類学、民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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