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内容説明
「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」である妖怪手品。奇想天外さや手軽さで人々を喜ばせ、時代とともに大がかりな見世物になっていく江戸享保年間から明治までの過程を描き、同時代の中国やヨーロッパとの比較や、江戸川乱歩と妖怪手品の接点も紹介しながら、怪異を楽しむ日本人の感性に迫る。
目次
第1章 宴会でおばけを出します
第2章 プロの技、アマチュアの芸
第3章 より刺激的に、より大衆的に
第4章 妖怪手品の同時代性
第5章 手品師は西洋を目指す
第6章 妖怪手品師・江戸川乱歩
著者等紹介
横山泰子[ヨコヤマヤスコ]
1965年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業、国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程修了。現在、法政大学理工学部教授。専攻は日本文化史、比較文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
16
江戸時代から明治・大正まで妖怪に絡んだ手品を論じている。紹介されている内容も「天狗を出現させる法」といった相当痛い内容のものから、歌舞伎の舞台トリックや同時代の西洋における奇術、明治の御代の西洋奇術の輸入や果ては江戸川乱歩まで多岐にわたり、其々どの部分も興味深く読める。昔の人も宴会などで、こういった「奇」や「怪」をトリックとして楽しんでいたかと思うと、なんとなく嬉しくなってきます。2012/05/14
紅独歩
4
耳慣れない「妖怪手品」とは『幽霊出現などの怪奇現象を、種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽』をさす新造語。しかし、その歴史は古く江戸元禄の『神仙戯術』にまで遡るという。恐怖と笑いを結びつけたその娯楽の歴史と歌舞伎との関係、東西比較論、そして妖怪手品コレクターとしての江戸川乱歩の紹介等、非常に興味深い内容。あとがきに書かれた「批判的精神が保障された平和な社会でなければ、こうした娯楽は成り立たない」という指摘は重要。『健全』を売り物にした規制ほど、不健全なものはないのだから。2012/05/05
qoop
2
著者の云う妖怪手品とは〈怪奇現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽〉のこと。怪奇趣味の感じられる様々な芸能/遊興をプロアマ問わずにこの名の下に通覧し、その特徴を時代に応じて論じることを可能にする。たぶんに恣意的ではあるが、だからと云ってこういう試みの面白さは減じない。怪奇を楽しむ心性を語る上で、アマチュアの占める比重の大きさはこれまで意識していなかっただけに刺激的だった。2014/07/13
Koning
1
江戸時代の宴会芸(とはいえ、遊郭のとんでもないお大尽なやつだけど)で行われただろう物から始まって歌舞伎等の舞台芸術、そして明治の奇術師や江戸川乱歩まで。妖怪らしきものを見せる手品の大衆化であるとか、客の「見たて」何て物が語られたり、なかなか専門的なのにどこを読んでも楽しめるという素敵な本。英国の元祖スケプティックなスコットの著作にも触れられていたり読む方も色々な切り口で読めるし2000円だけどそれ以上楽しめるね。2012/05/26
takao
0
へー2017/10/07