出版社内容情報
誰でも無料で気軽に利用できる近代的な図書館は、20世紀ごろ、欧米の図書館制度を参考にして誕生したといわれている。ところが、『万葉集』の時代、太宰府の書殿はすでに図書館として機能していた。
私設の図書館を作っていた聖徳太子が過ごした斑鳩宮の一室や、中国の経典を所蔵した経蔵の貸出システムなどからは、日本独自の図書館の起源がみえる。
また、明治時代の自由民権運動や青年会運動を背景に全国各地で起きた会員制図書館の潮流は、近代の公共図書館づくりの原型になった。
そのほか、20世紀初期に図書館づくりに携わった佐野友三郎の奮闘や、同じ頃にアメリカの図書館用品メーカーが日本の図書館づくりに与えた影響からは、現代の図書館が登場するまでの道のりが浮かび上がる。
図書館史に精通した3人が、古代から近代までの時代を貫いて、膨大な資料を丁寧にひもときながらかつての図書館を掘り起こし、現代の図書館につながる豊かなイメージを鮮やかに描き出す。
目次
第1篇 古代日本図書館史考 小川 徹
第2篇 経蔵考 小黒浩司
第3篇 佐野友三郎補記と寸感 小川 徹
第4篇 図書館運動の諸相――会員制図書館の系譜と展開 奥泉和久
第5篇 日本におけるライブラリー・ビューロー製の図書館用品――三井文庫所蔵の三井物産資料を中心に 小黒浩司
内容説明
図書館史に精通した3人が膨大な資料を丁寧にひもときながら、古代から近代の主な時代の図書館を掘り起こし、現代の図書館につながる豊かなイメージを鮮やかに描き出す。
目次
第1篇 古代日本図書館史考(聖徳太子―著作者として姿を現した最初の人物、その書斎は最古の図書館;図書寮について ほか)
第2篇 経蔵考(古代―校倉造の経蔵;中世―鎌倉時代の経蔵 ほか)
第3篇 佐野友三郎補記と寸感(佐野友三郎「日本の公共図書館」;佐野友三郎は“reference”を「閲覧」と理解していた ほか)
第4篇 図書館運動の諸相―会員制図書館の系譜と展開(会員制図書館の概要;団体内に設置された図書館 ほか)
第5篇 日本におけるライブラリー・ビューロー製の図書館用品―三井文庫所蔵の三井物産資料を中心に(三井物産の経営の展開;LBとの代理店契約の締結 ほか)
著者等紹介
小川徹[オガワトオル]
1933年、京都府生まれ。元法政大学図書館司書、のち同大学文学部教員(司書資格課程担当)。日本図書館文化史研究会、としょかん文庫・友の会、小金井市の図書館を考える会などの会員
奥泉和久[オクイズミカズヒサ]
1950年、東京都生まれ。元横浜女子短期大学図書館司書。日本図書館文化史研究会、日本図書館研究会、としょかん文庫・友の会などの会員
小黒浩司[オグロコウジ]
1957年、東京都生まれ。作新学院大学教員。日本図書館文化史研究会、日本図書館情報学会、日本図書館研究会などの会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。