内容説明
1976年5月から6月、日本に滞在したブローティガンは、日記をつけるようにこれらの詩を書いた。この1カ月半の瞬間瞬間を、自分たちが死者となった後の永却の時間から捉える、ブローティガン固有の東京日記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y
42
ひんやりとして静かで、夏の午後に読むのに最適な詩集だと思った。けれどちょっと角度を変えて眺めたらどこにもあてのない孤独が横たわっていた。淡々とした口調の背後に数え切れないほどの葛藤が見えたような気がする。冒頭の戦争の話が興味深かった。アメリカ側からみた戦争って、知っているようで知らない。生の声を聞いてはじめて見えてくるものがあった。不思議な詩集だ。タイトルが同じということもあり、川上弘美の東京日記シリーズと相通じるものがあると思った。こんな日記を書いてみたい。2015/07/19
jahmatsu
39
少ない言葉とブローディガンらしいアイロニーで、孤独感と当時の東京の情景がぼんやり伝わってくる。 日記を詩という形で書く、この空気感が素敵。映画ロスト・イン・トランスレーションと妙にダブった。2020/05/06
haruaki
17
ブローティガンが1976年に1ヶ月半ほど東京に滞在した時の詩集。デリケートでリアルな描写の中に、東京という街の本質がよく捉えられていて、読んでいて寂しさを感じる。寂しくなるのはブローティガンが言葉の通じない異国での辛い孤独感を抱えているのが詩から滲み出ているからかもしれないけれど。東京は賑やかな街だ。でも、たまに、人が生きる意味などないみたいに生きている様に思わせる寂しさもあるような気がする。2017/04/17
GORIRA800
9
異邦人ならではの孤独感 これだけ日本文化に理解している人でも日本ではここまで孤独感を感じてしまうのが切ない 孤独感が当たり前の世界でそこでも読まれる恋愛の詩がかすかに、でも確かに愛を感じるようで素敵2021/06/13
王天上
6
東京滞在日記の体裁を持つ詩集。病院の待合室で読破。肩の力が抜けた作品でするする読めた。詩人が翻訳しているというのがよかったのかな。お薦めです。2013/04/05