出版社内容情報
偶景(アンシダン)-偶発的な出来事、日常の些事…、ここでは、1968-69年にかけてのモロッコでの見聞を記録した断章。故郷バイヨンヌの風光と母との思い出を綴った「南西部の光」、パラス座の自由な空間を称えたエッセー「パラス座にて、今夜……」、「パリの夜」の4篇のテクストを収録。晩年のバルトが志向した《ロマネスク》(小説的なもの)の実践であり、断片である。 1985年初版
内容説明
本書は4篇のテクストから成っている。母と共生した故郷バイヨンヌの風光と思い出を語った「南西部の光」、パラス座の自由な空間を称えたエッセー。「偶景」は、1968‐69年にかけてのモロッコでの見聞を記録した断章である。モロッコは、スタンダールのイタリア、ジッドのアルジェリアと同様、バルトの欲望が漂流する狂気の場であった。そして、「パリの夜」、これは『失われた時を求めて』の同性愛者シャルリュスがさまよい歩くソドムの都市の住人にかんする日記=ロマネスクである。
目次
南西部の光
偶景
パラス座にて、今夜…
パリの夜
著者等紹介
バルト,ロラン[バルト,ロラン][Barthes,Roland]
1915‐1980。1915年フランスのシェルブールに生まれ、幼年時代をスペイン国境に近いバイヨンヌに過す。パリ大学で古代ギリシア文学を学び、学生の古代劇グループを組織。結核のため1941年から5年間、スイスで療養生活を送りつつ、初めて文芸批評を執筆する。戦後はブカレストとアレクサンドリアでフランス語の講師、その間に文学研究の方法としての言語学に着目、帰国後、国立科学研究センター研究員、1954年に最初の成果『零度のエクリチュール』(邦訳、みすず書房、1971)を発表。その後、エコール・プラティック・デ・オート・ゼチュードの「マス・コミュニケイション研究センター」(略称セクマ)教授を経て、1977年からコレージュ・ド・フランス教授。1980年歿
沢崎浩平[サワサキコウヘイ]
1933年東京に生まれる。1957年東京大学文学部仏文学科卒業。1966年東京都立大学大学院博士課程修了。元東京都立大学人文学部教授。1988年歿
萩原芳子[ハギワラヨシコ]
1948年東京に生まれる。慶応義塾大学文学部仏文科卒業。パリ第三大学修士号取得。東京都立大学博士課程修了。現在明治大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
、
松本直哉
ラウリスタ~
ハチアカデミー
uchiyama