出版社内容情報
神の裁きと訣別するために、身体をめぐって加速されてゆく思考。本書は、その生涯・全作品を精査することで、様々な解釈を与えられてきたアルトーの本質を究明する。「器官なき身体」の謎をとく、アルトー精読の結晶。ドゥルーズ=ガタリに捧げられた、著者渾身の力作評論。
内容説明
「器官なき身体」の謎を解く、アントナン・アルトー精読の結晶。加速された身体をめぐる思考をアルトーの全生涯・全作品にたどり、20世紀思想の火山脈にふれる実験を解明する、著者渾身の力作評論。
目次
序論 問いと軌跡
第1部 思考不可能をめぐる詩学
第2部 記号の創造―映画と演劇
第3部 ヘリオガバルス論
第4部 最後のアルトー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジャン
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デリダが「形而上的身体」とも呼んだアルトーの身体の捉え方が中心にある。いわゆる「器官なき身体」なわけだが、社会や歴史からの身体の汚染の拒絶(構造主義にも通じる)、理性と情動/感情の二元論を排した力動的・流動的な思考の充実する場としての身体の定位(もはや身体が思考するのである)、辺りが特徴と言えそう。時に著者の理解なのかアルトー本人の言なのか理解不明になったり、論理構造ではなく文章の流れを重視するような文体のせいで、時に他の箇所と矛盾しているように思えたり、著者のエクリチュールには終始全く慣れなかった。2023/02/11