責任と判断

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  • サイズ A5判/ページ数 392p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784480842732
  • NDC分類 311.1
  • Cコード C0010

出版社内容情報

邪悪でない人々のうちに潜む〈凡庸な悪〉、すなわち思考を停止してしまった世界で倫理が可能なのか。〈善〉と〈悪〉についての透徹した思考。アレント未公刊遺稿集。

内容説明

“凡庸な悪”という恐怖。思考を停止してしまった世界で倫理は可能か?!アレント未公刊の遺稿、待望の刊行。

目次

プロローグ(ソニング賞受賞スピーチ)
第1部 責任(独裁体制のもとでの個人の責任;道徳哲学のいくつかの問題;アレントの『基本的な道徳命題』の異稿;集団責任;思考と道徳の問題―W・H・オーデンに捧げる)
第2部 判断(リトルロックについて考える;『神の代理人』―沈黙による罪?;裁かれるアウシュヴィッツ;身からでたさび)

著者等紹介

アレント,ハンナ[アレント,ハンナ][Arendt,Hannah]
1906年、ドイツのユダヤ人家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーに、ハイデルベルク大学でヤスパースに師事、哲学を学ぶ。1933年、ナチスの迫害を逃れフランスへ、41年にはアメリカへ亡命。二〇世紀の全体主義を生み出した現代大衆社会の病理と対決することを生涯の課題とした。1975年没

中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kircheis

66
★★★★☆ 難解なアーレントの著作群の中では、講義やインタビューでの発言集である本書は非常に読みやすい方である。 『エルサレムのアイヒマン』で何を伝えたかったのかが良く理解できる。 『凡庸な悪』というキーワードは、ナチスの悲劇を繰り返さないための警句なのだろう。 なお、最後のいやらしいインタビュアーに対する回答を読むと、天才の思考の一端が垣間見れておもしろい。2019/06/29

テツ

28
時代のうねりみたいなものを個人で押し返すことは実際問題不可能だと理解すること。その上でそのうねりと対峙したときに自分で考え自分で判断をくだし、その決定についてしっかりと死ぬまで責任を感じることの準備を常日頃からすること。ナチスの暴走を一般市民が止められたとは思わない。でもそのときにあなたはそれについてどう思ってどう行動していたのか。そして今何を感じているのか。思考放棄して追従したくせに後から「あのときは仕方なかった」等と呟き責任と罪悪感から逃れようとしてはならない。2018/11/12

魚京童!

26
いいよね。やっぱり。責任はあるよね。判断間違ってるかな?あれをやれって言われて、そうじゃないって思うけど、しょうがなくやる。その時に責任を取るのは誰なんだろうね?それ私じゃない。歯車だったから。そんなの日常茶飯事だ。たまたまヒヤリ、ハッとがなかっただけ。一大事になったら責任を取らされる。それって違うよね。私だって今ユダヤ人を運んでる。でもさ、しょうがなくない?無理だよ。殺されるくらいなら運ぶ。喜んで。捕まったら首でもなんでもくくってくれって話だよね。覚悟決めることがオトナへの第一歩かもしれない。2019/02/23

壱萬弐仟縁

24
2003年初出。 官僚制は誰も支配する者のいないシステム。 非人間的で残酷な支配形態(41頁)。 官僚機構が人間を一員、管理するマシンの歯車 にしてしまい、人間らしさを奪ってしまう 不可避的な傾向があることを考察するのが重要(73頁)。 組織の一員としては、個性が掻き消されるという問題も あるだろう。 徳は訓練や教育の結果から生まれる(93頁)。 安倍首相は道徳を教科にして、 成績をつけるというが、 訓練の中身が問われるところであろう。  2014/04/16

きいち

22
誰もが自分の内にアイヒマンを抱えてる、だから我々皆に責任があるという感想が、結果としてナチスに協力して非道徳的な活動を担った者の責任を曖昧にしてしまう、という論の進め方がまさにアーレント。それは、道徳が破壊されたのはナチス化の時よりそこから戻ってきた時、という議論や公民権運動での教育の統合への批判、ウォーターゲートの際の発言にも通低してる。過去を乱暴に一般化することをゆるさず、経験から丁寧に学び、自分で考えて判断することへとつなげる言葉たち。自分にとっても、思考への決意を勇気づけてくれるアクティブな本だ。2014/01/01

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