ちくま学芸文庫<br> 漫画原論

ちくま学芸文庫
漫画原論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 390,/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480084781
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0179

内容説明

漫画を漫画たらしめている内的法則とは何だろうか。いかなる約束事が漫画を絵画や小説、映画とたがわせ、アニメーションやイラストレーションといった隣接ジャンルと異なったものに仕立てあげているのか。物語の内容をひとまずおいて、物理的に漫画を築きあげている線(ふき出しやコマの配分、速度の表象など)と色彩(黒と白、色の有無)などを通して漫画を論じ、漫画を形作る「文法」とは何であるかを考える。戦後から現在までの作品を分析した漫画表現論。

目次

映画の隣人
画面の成立
運動の分割
コマの配分
コマの逸脱
速度の表象
瞬間の変身
紙の幻術
風船と主体
風船の諸相〔ほか〕

著者等紹介

四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年西宮生まれ。東京大学大学院で比較文学比較文化を専攻し、現在は明治学院大学芸術学科教授として、映画史・映像学を講じている。『月島物語』(集英社)で第1回斎藤緑雨賞を、『映画史への招待』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サイバーパンツ

16
文学的にどうとか、歴史的文脈から見てどうとか、そういうのは一旦置いといて、ひたすら文体で読む漫画表現論の先駆的名著。漫画は様々な制度によって構成されているが、私たちは普段、そんなこと気にもせず、スラスラと読んでしまっている。本書は、その無意識に理解してしまう漫画の制度を、記号論の手法を用いて読み解いていく。普遍的な漫画の記号を体系的に分析しているので、レポートや卒論はもちろん、普段漫画を読むときにも、かなり実践的に使えると思う。単純に面白いだけでなく、応用が利くという意味でも、素晴らしい一冊。2016/10/04

k5

12
四方田犬彦の本で一番面白かったです。とくにサンプリングのセンスが絶妙。画面、運動、フキダシ、オノマトペから登場人物の顔まで、語るときに引用する作品と場面が抜群の説得力で、語られることがどんどん消化される感覚が快感だった。第二部になり、突然語り口が微妙になりますが、この本は推せます。2020/01/10

三柴ゆよし

5
思想とかなんとか小難しい話はよして、とりあえず「文体論」でいくわって感じのアマチュアなノリが好ましい。本文庫にしては肩の力の抜けた本だと思う。別に目新しいことはなにひとつ言ってないんだけど、漫画表現の「お約束」を再確認するには最適だろう。いくつか事実誤認が目についたのはマイナス点。白戸三平「妙活」のモデルは、「恵心僧都の話」じゃなくて「果心居士のはなし」ですな。些細なことですけど。2010/11/14

Mark.jr

4
漫画を社会的背景と結び付けて批評するのではなく、またそれぞれ作家個人を論じるのでもなく、漫画を構成する個々の要素(コマ、吹き出し、背景、人物の顔etc...)を解体・解析する、まさに"原"論と言うべき本になっています。内容は著者自身が自分の本の中で一番独創性がないと言っていますが、裏返せば時間の経過に耐える普遍性と実用性を持っていますし、またここまで明快に書いてある本もそうないと思っています。2023/02/26

つまみ食い

2
漫画における「文法」—コマの構成と機能やフキダシ(風船)、キャラクターの眼や鼻など顔の造形—を記号論的に詳しく研究している。「誰が書いても同じことだ。誰かが書きさえすればいいのだ」というベケットの言葉を引いているが、誰にでも書ける本ではない。2021/09/06

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