ちくま文庫<br> 裸体の森へ―感情のイコノグラフィー

ちくま文庫
裸体の森へ―感情のイコノグラフィー

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 274,/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480022851
  • NDC分類 701.5
  • Cコード C0170

内容説明

セピア色のポルノグラフィーから80年代のボディアートまで、マン・レイやデュシャンの作品、ヌーディズムとグラマーガールへも言及しつつ、20世紀の裸体イメージと、それに向けられた“まなざし”の変容をとらえる俊鋭の画期的な身体文化史。サバービアの感情を描くエリック・フィッシュルの作品論を新たにつけ加えた増補決定版。生きられた肉体と夢見られた裸体のあわいに立ちのぼるエロスのゆらぎをとらえる。

目次

1 フェティシズムの黄金―リチャード・マーキン『ベルベット・エデン』をめぐって
2 “愛”のマシニズム―アッジェ/マン・レイ/ビル・ブラント
3 さかしまのヌーディズム―裸体とユートピア幻想
4 二重の箱のなかの裸体―ステレオ・デュシャン・グラフィック
5 セックス・シアターのフリークス―グラマーからアンドロギュヌスへ
6 キネシクスとボディ・アート―都市のなかの肉体美術
7 電気の皮膚、電気の闇―エレクトリック・キャバレーとしての身体
8 痙攣する性の場所―エリック・フィッシュルの変容

著者等紹介

伊藤俊治[イトウトシハル]
1953年生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業。同大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋美術史専攻)。東京藝術大学教授。『ジオラマ論』でサントリー学芸賞受賞。その活躍の場は写真論に限らず、ひろくテクノロジーや身体・環境まで及ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

24
映画やパフォーマンス、絵画等作品を紹介する部分では、句点でつらつらと連なる長めの文章に導かれ、それら作品世界へとトリップするような読感が得られるが、短く切るところは切る。確かに幾分冗長な文章が目立つが、「肉体」と「イメージ」の間を、感情を含む感覚を通してたどることで橋渡しし超えてゆくためには、ときに冗長さがメディアに慣らされ鈍った私たちの感覚に揺さぶりをかけてくる(私自身、冗長な文章を書いてしまうため、失礼だが似たような文体に出くわしてうれしい)。2017/01/13

とみぃ

19
「裸体を描いたイメージは常にその時代に特有な身体感覚を投影し、好むと好まざるとにかかわらず、その時代の人々の肉体への強い眼差しを内包させてしまう。」ということで、伊藤さんは裸体写真や裸体画を通して、裸体に現れている時代感覚を模索していく。ヌードを単に下半身的に消費するのではなく、理知的に消費し始めたということで、これもまた今から見れば時代の徴候ではあろう。対象が欧米に絞られていることも、女性裸体が多いことも、それはそれで時代である。1985年の刊行から35年、裸体はいま、ずいぶん遠いところまで来ている。2021/03/06

王子

9
著者の説明的できわめて息の長い文体に辟易しなかったといえば嘘になるけれど、早急に着地点を定めずに「肉体」と「イメージ」のあいだを飛び越え浮遊する思考の斬新さと豊饒さの一端を垣間見ることができたような気がする。その意味でも、本書があらかじめ着地点を定めずに「美術表現とポルノグラフィを等価に扱うという方法論を貫い」ていたことは、自分の探究心にとって有益であったと思う。特に内容とは直接関係がないが、このようなアカデミックなエッセイにあって、著者の一人称が「ぼく」であったのが印象的だった。2017/09/09

wakabon

1
20数年前に所々拾い読みはしてるはずだが、その時はほとんど面白いとは思わなかった。今回まともに通読してみて、1980年代・90年代の表象文化(執筆当時はまだメジャーでなかったであろうオタク文化の発展をも示唆すると読みとれる部分もあり)をきっちりと捕捉している好著だと思った。装飾過剰な文体は読みにくいが・・・。2010/10/10

biccvo

0
裸体にまつわるエトセトラ。個人的にはアートをこういう風に意味づけしてくのって好かないけど、勉強にはなったかな。2011/07/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/50493
  • ご注意事項