セクシュアリティの歴史社会学

セクシュアリティの歴史社会学

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  • サイズ A5判/ページ数 433,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326601264
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C3036

出版社内容情報

明治以降近代日本のセクシュアリティはいかに形成され、どのように変容したか。重層する膨大な言説資料を渉猟、分析することで、日本のセクシュアリティ言説形成過程に見出された一定のパターンを、オナニーに関する言説に焦点をあてて検証する。また、性に対して与えられてきた2つの意味論、すなわち「性=本能論」と「性=人格論」がどのように拮抗し交錯して慣習や制度を形成してきたかを素描する。哲学、理論社会学、フェミニズムなど現在までのセクシュアリティ研究の成果に理論的検討を尽くしたうえで、考えられる限りの資料を検証する方法論

内容説明

性をめぐる言説が紡ぎだす近代日本。社会史、歴史社会学、近代社会論、言説分析や資史料分析の方法論に至るまで、広く社会学的な関心を持つ読者に。膨大な資料を渉猟し、理論的検討を尽くした渾身の書。

目次

理論編(セクシュアリティの概念定義をめぐって;歴史社会学としてのフーコー;セクシュアリティの歴史社会学の方法基準)
歴史編(開化セクソロジーのエピステーメー;オナニー有害論の内発的発展;オナニー有害論の言説化;「性欲」の誕生と通俗性欲学のエピステーメー;性欲のエコノミー問題;「強い」有害論;「弱い」有害論;性欲自然主義と性=人格論;性欲のエコノミーの変容;オナニー至上主義とセックス至上主義;性欲のエコノミーから親密性パラダイムへ)

著者等紹介

赤川学[アカガワマナブ]
1967年石川県生まれ。1999年東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻社会学コース社会学専門分野博士課程修了。博士(社会学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

116
著者は、オナニーへの規制を緩めれば買春への規制を強めるといった互換性に着目し、性のエコノミー仮説を立てる。明治末期には西洋の精神医学を翻訳して大衆を「善導」する通俗性欲学が生まれ、昭和前期に性=本能論の下にオナニー有害説が国家イデオロギーとなった。戦後、漸く過去のオナニー有害説は解除される。しかし、性=人格論の最強選手《親密性パラダイム》が童貞・処女・非モテ・オナニストを厄介物と見る状況の息苦しさは、著者のいう通りだと思う。膨大なテクスト群に当時の受容実態から研究史まで取り込み、近代日本の全容に迫る試み。2020/04/02

kenitirokikuti

6
元は赤川学氏の博士論文なので、概略は以下に→ http://www.l.u-tokyo.ac.jp/postgraduate/database/1998/130.html ▲ 古くは『オナニア』のごとき自涜有毒論がある(阿片などと同一視)。のち、商売女を買うよりも自慰行為の方が道徳的かという問題に。性-本能論への対抗として、性-人格論が生じる。フロイト式ならオナニー礼賛・肯定となるが、カント式なら、「他人を道具とし扱うな」という倫理が(ポルノ視聴を伴う)自慰や婚前交渉などを否定する。正しいが窮屈なカント。2019/01/15

まあい

6
凄い、の一言。セクシュアリティに関する資料を百年分かき集めて、最高に鮮やかな切れ味で整理し、言説分析による社会学の成立を高らかに宣言する名著。この本を読まずに日本でセクシュアリティ研究はできない、というレベルの一冊。「親密性パラダイム」の一人勝ちの問題は、もっと広く知られるべき。2016/08/21

F3yShf

1
緻密な言説分析に目を奪われる。テーマに関係なく言説分析によって社会学を成立させる手法を学ぶことができる。この本を読む前と読んだ後では世界の認識の仕方が変わってしまい、どこからどこまでがこの本の示唆によるものだったか思い出せない。とかく「常識的に」「こういうもの」などと語られがちな性に関する価値観がどのような変遷を辿ってきたのか、地に足のついた分析で見えてくる。ただし赤川先生が男性であること、資料自体が男性中心主義であることから、主に男性の性を対象にしているので、女性については他を当たる必要がある。

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