出版社内容情報
ロッシのプロジェクト、建築作品を生み出す際の思索の過程をまとめあげたもの。彼の「類推的都市」以降発展させた建築の存在論的問題についても深く省察され、今日の一つの建築のあり方が十分に理解できる書である。
主要目次
◆学としての自伝◆ドローイング 1980年夏◆後記形態におけるイデオロギー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kamon Ryuji
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論文。2013/04/25
ネオジム坊
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あとがきでモデナの墓地の納骨塔と「イタリア文明館」の類推が指摘されていて鳥肌が立った。そうだ、やはり同じ類推を持つ人物がいることで、自らの類推に確信が持てる。ロッシは、デ・キリコのことすら、あまり多くを語らない。彼はキリコのデザインに直接的に影響を受けているように見えるが、ロッシの幾何学はキリコとかなり異なるものであり、(キリコの好んだアーチのモチーフをロッシが使うことは殆ど無い)モデナの柱廊の影には「ガララテーゼの集合住宅」と同様、コルビュジェやルドゥーなどの、過去のあらゆる建築家たちが身を潜めている。2012/04/26
ネオジム坊
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『「ことばなく(sparachlos)」とは「黙る」以上の意味を有している』『じじつ私が考えたのは黙るという以上に『言葉の不在』である』(p101)一ヶ月前福岡のパラッツオの前庭に立った記憶が、これだけの言葉から漣のように打ち寄せてくる。岸田省吾は「ロッシのデザインは分かり易すぎる」と述べたが、本著の彼の言葉はあまりにも神秘的な謎に溢れ、『不在』のフェティシズムというべきロッシの「現実の空間」、いや彼のつくった「不在の時空」に引き寄せられてしまう。空間詩人への『毒書のススメ』というべき書と覚える。2012/04/24