内容説明
『チベット潜行十年』から三十年、今、明かすチベット現代史の生きた証言。自由と冒険を夢みた草原の実験農場、ラマ僧に変装し遊牧民と旅した十余年、チベット独立運動に情熱をもやした青春の日々を語る。内モンゴルからチベット、青海省、インドへと、それは特命を帯びた探査でもあった。
感想・レビュー
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Hisatomi Maria Gratia Yuki
1
『潜行』より詳しい部分もあり、少し省かれている部分もあり。その中で西川一三についての記述には、羨望と少々の嫉妬が滲み出す。また、戦後日本の「米国と同じことを意図しているかのようにみせかけ、そうすることによって我々が犯した戦争犯罪について国家的に何一つ真剣に反省する必要がないとみなした(略)日本人はすでに自分がなにものだかわからなくなっているからだ。このままほうっておけば過去にも味わった孤立状態に再び追い込まれるに違いない」の考察は当たりつつあることに戦慄する。2015/10/25