フォト・ミュゼ<br> 萩原朔太郎写真作品 のすたるぢや―詩人が撮ったもうひとつの原風景

フォト・ミュゼ
萩原朔太郎写真作品 のすたるぢや―詩人が撮ったもうひとつの原風景

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  • サイズ A5判/ページ数 93p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106024030
  • NDC分類 748
  • Cコード C0372

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gtn

19
「現実から遊離して、宇宙へ飛んでいるようでもあるし、人間ではない不思議な鳥のようにも見えた」と父朔太郎の印象を語る娘。父のパノラマ写真の趣味は、現実世界に引き戻すためのアイテムとの娘の見立ては正しい。例えば大森付近の線路沿いを歩く娘を捉えた写真。これは我が子なんだと確認しているようだ。2020/02/15

ねこさん

16
たとえば朔太郎は、「かくばかり」という言葉をよく使う。ぼんやりと時間が過ぎていく、そこにぽつんと取り残されたような主体を、口元に薄い笑みを浮かべながら眺めているような気分を想像する。そんなゆるやかに孤独な主体の見ていたであろう風景を、詩から我々がイメージしていた心象を、答え合わせをするような気持ちで眺めることができる写真集。自分も子供の頃、ビューマスターというおもちゃでパノラマ写真をよく眺めていた。今にして思えば、立体的に見える海外の風景に妙な「のすたるぢや」を感じて何度も眺めたものだった。2022/08/27

冬見

15
朔太郎が撮った立体写真を集めた一冊。朔太郎と葉子さんと朔美さんのショートエッセイも収録されている。朔太郎が写真に閉じ込めたかったもの。それは、自然の風物の中に反映される自分の心の郷愁であった。「侘びしをり」のようでもあり、無限へのロマンチックな思慕のようでもあり、もっとやるせない心の哀切な歌でもある。ステレオスコープは前に一度、フジフィルムスクエアで実物を覗いた記憶がある。少し練習すれば裸眼でも絵が浮いて見えるようにある、とあったけれど難しい。せっかく並べて掲載されているのだから見えるようになりたいなあ。2019/01/17

遠い日

8
朔太郎が熱中したステレオスコープによる写真集。葉子さん、朔美さんのエッセイも添えて。詩人の感性は、写真にも現れるものなのか、「郷愁」を色濃く漂わせた、リアルを超えたリアルで上書きされた写真。わたしには、自分の子ども時代の田舎の風景と重なって、胸奥を押される。朔太郎の詩集を久しぶりに開いてみようか。2019/06/23

misui

8
朔太郎が写真を、特に同じ風景を微妙にずらして二枚並べた3D写真(ステレオスコープ写真)を好んで撮っていたとは知らなかった。その立体視の中に自身の心中にもある「ノスタルジア」を見出し、時に覗いて楽しんでいたという。普通の写真では駄目だったというのがポイントだろうか。「後景が一層遠く後退し、長い時間の持続している夢の中で、不動に静寂しているように思われるのである。」「僕の心のノスタルジアは、第三次元の空間からのみ、幻想的に構成されるからである。」2014/10/01

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