千々にくだけて

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062128841
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

アメリカ人日本文学作家が、9・11体験の核心から現代世界の変容と危機を鮮烈に描きだす「ノンフィクションを超えたフィクション」。「9・11」に対峙する、新しい文学の誕生!

南の塔が崩壊したあとに、北の塔も、たやすく、流れ落ちた。見ているエドワードの耳に、音が響いた。ちぢにくだけて、broken,broken into thousands of pieces
2001年の夏の終わり、20年来定住している日本から母国アメリカへと旅立った主人公は、同時多発テロ発生により経由地カナダで足留めされる。すべての国境が閉鎖され、アメリカへも日本へも帰ることができない状況の中、砕け散った世界のおぞましくも新しいイメージが襲いかかる……。国境を越えて日本語の可能性を開拓してきた作家が、「9・11」後の世界に提示する傑作小説。

内容説明

2001年の夏の終わり、20年来定住している日本から母国アメリカへと旅立った主人公は、同時多発テロ発生により経由地カナダで足留めされる。すべての国境が閉鎖され、アメリカへも日本へも帰ることができない状況の中、砕け散った世界のおぞましくも新しいイメージが襲いかかる…。国境を越えて日本語の可能性を開拓してきた作家が、「9・11」後の世界に提示する傑作小説。

著者等紹介

リービ英雄[リービヒデオ]
西洋出身者として初めての日本文学作家。1950年米国カリフォルニア州に生まれる。少年時代から台湾、香港などに移住し、十六歳から日本に住む。以降、日米往還を繰り返し、その間プリンストン大学大学院博士課程修了。プリンストン、スタンフォード大学で日本文学教授を務める。東京に在住。82年、「万葉集」の英訳で全米図書賞受賞。92年、小説デビュー作『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

チャーリブ

17
9.11同時多発テロから20年ということで読んでみた。著者は、ニューヨークの妹に会うために成田からバンクーバー空港に到着したところでこのニュースを聞く。その時の体験を小説化したのがこの作品だ。彼の妹の同僚が墜落した旅客機に乗っていたことが分かるのだが、興味深いのは、そのことを別れた日本人の前妻にどう伝えようかと考える場面。英語の直訳「殺された」ではなく、日本語では「亡くなった」と言うべきだと彼は考える。たしかに私たちの日本語の世界では「原爆」も「東京大空襲」でもすべて犠牲者は「亡くなって」いる。2021/09/24

Yasutaka Nishimoto

3
日本文学者である著者は、帰国のためにカナダ・バンクーバー経由の飛行機に乗るのだが、経由地で足止めをくってしまう。それが、アメリカでの同時多発テロの影響であり、ほぼ実話である本作のすべてとなる。翻訳ものでないため若干構えてしまうが、ほぼ気にならずに読める。知らなかった事実もあり、短いながらも良い。2017/05/03

テキィ

3
米国人が人としゃべっていて、頭に日本語が浮かぶという表現が面白かった。昨日のmebicの講演で講師の疋田さんは逆に英語が頭に浮かんでいる感じだった。wikipediaによると英雄は生まれたときからのミドルネームらしい。縁があったのだなぁ。ちょっとこの本だけだと判断できない印象。2012/08/16

3
日本人化した元アメリカ人がカナダから9.11を見つめる話。アメリカ的な考えにはもう戻れず、日本人には距離を置かれる現実に慣れている人間だからこそ見える、閉鎖的なWASPとか自分たちが中心にあると疑わないアメリカの歪さと権力機構を書き出せるという話。 174P 講談社2011/09/25

祐紀

3
アメリカという国と、アメリカを離れてしまったアメリカ人である主人公の距離感、自分が何人なのかという所まで行きそうになりながらも、微妙なバランス感覚で、破綻を免れている印象を受けるが、しかし、本当に破綻していなかったのだろうか?千々にくだけるイメージの共有。国家と個人のアイデンティティ。考えるほどに深みにはまる作品。2009/09/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1960
  • ご注意事項