内容説明
西郷誕生から彰義隊戦争まで、激動の幕末・維新史を見事に描破した幻の大長編史伝、新装版にて刊行開始。
著者等紹介
海音寺潮五郎[カイオンジチョウゴロウ]
1901(明治34)年、鹿児島県生まれ。国学院大卒。中学校教師のかたわら創作活動を続け、1929(昭和4)年に「うたかた草紙」が『サンデー毎日』大衆文芸賞に入選し、作家活動に入る。1936年「天正女合戦」「武道伝来記」で直木賞を受賞。『柳沢騒動』『赤穂義士伝』『茶道太閤記』などを発表して歴史小説に道を拓く。1968年に菊池寛賞を受賞。1973年に文化功労者に選ばれ、1977年に日本芸術院賞を受賞。同年、病没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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自然堂
5
今巻は薩摩藩の歴史や、幕末期の薩摩の藩風を形作る始点となった重豪の時代から斉彬の襲封までと、将軍継嗣問題に端を発した斉彬や西郷、松平春嶽等の一橋擁立派と井伊直弼を中心とした南紀派の政治闘争までを描く。今の所、西郷の出番はほとんど無いが、幕末・維新史として非常に濃い内容なので満足度は高い。膨大な史料に当たった上で書かれる文章は情報量が多く、且つ文体、内容共に非常にやわらかく書かれており、弟子である司馬遼太郎の著作よりも小説としては数段優れている様に感じる。何故にここまで知名度に差が出るのか理解に苦しむ。2012/03/25
ちゅんぴん
3
久しぶりに再読。前回は2巻の途中でストップしちゃったから、今回は全巻読破します。2014/04/25
きむきむ
2
将軍世子問題と条約勅許問題。これを巡る政治的争いのドロドロ感。2017/10/07
夢仙人
2
純粋小説ではなく、歴史背景(潮五郎流の)の説明もあり面白く読める。隆盛の世に出た辺りの話。2016/06/11
Rina Niitsu
2
幕末に関する本は何冊か読んでいましたが、西郷隆盛さんを直接に中心に置いた作品を読むのは初めてです。第一巻を読んでまず思ったのは人物伝を超えているということ。時に西郷さんから離れつつも、薩摩藩が抱えていた熾烈な後継者争いなど、当時の背景が丁寧に記されています。図書館で借りたのですが、購入して全巻じっくりと読みたいと思います。