岩波現代文庫
パサージュ論〈第3巻〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 459p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006001032
  • NDC分類 944
  • Cコード C0110

出版社内容情報

亡命先パリで爛熟から崩壊へと向かう市民社会の運命を読み取り,ありえたかもしれない歴史の別の可能性にベンヤミンは思考をめぐらせた.[N:認識論,進歩の理論について]をはじめ,思想的方法論を展開する断章を収録.(全5巻)

内容説明

亡命先パリで爛熟から崩壊へと向かう市民社会の運命を読み取り、ありえたかもしれない歴史の別の可能性にベンヤミンは思考をめぐらせた。歴史認識のコペルニクス的転換について考察する“K”、遊歩者の認識をつづる“M”、認識論についてのマニフェスト“N”、売春と賭博の考察“O”など、思想的方法論と都市に関する断章群。

目次

K 夢の街と夢の家、未来の夢、人間的ニヒリズム、ユング
L 夢の家、博物館、噴水のあるホール
M 遊歩者
N 認識論に関して、進歩の理論
O 売春、賭博
P パリの街路
Q パノラマ
R 鏡
S 絵画、ユーゲントシュティール、新しさ
T さまざまな照明

著者等紹介

ベンヤミン,ヴァルター[ベンヤミン,ヴァルター][Benjamin,Walter]
1892‐1940年。フライブルク大学、ベルリン大学などに学ぶ。1933年ナチス政権成立後、パリに亡命。1940年ドイツ軍のパリ侵攻のため脱出を図るもスペイン国境で服毒
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

26
2010.06.13(覚書と資料) K.愛の街と夢の家、未来の夢、人間的ニヒリズム、ユング。P005 個人の生と同様、集団の生にも行き渡っているひとつの段階的過程としての目覚め。夢。以前の世代の教育の伝統の中、つまり宗教的訓示の中で、夢を解釈してやっていた。今日の教育では、気晴らしの目的しか与えない。プルースト。子供が衣服の下にしがみついていたときに顔をうずめていたその古い衣服の襞の内に見出すもの、これこそが本書が含んでいなければならないものだ。2010/06/17

いたま

1
岩波文庫刊行の『パサージュ論』3巻目。3巻目は遊歩者、パリの街路、街灯やコミューンに関する覚え書きなどを収録。19世紀の社会的、文化的な言説に潜むロジックを明らかにしようとするのがベンヤミンであるが、覚え書きから一貫した完成した主張を読み取るのは正直困難。ただ、街灯やパノラマ(映画などの走りである娯楽施設)などの当時の新しいモノに関する文化資料の集成という価値はあるだろう。惜しむらくは、ベンヤミンが完成させることなく世を去ったことだ。大量消費社会の分析的視点のボードレール分析の方向性が伺われる分冊。2021/01/28

poiuy

1
「夢の家、博物館、噴水のあるホール」読了。'museums'は「博物館」ではなく「美術館」の方が適訳な気がしました。文脈的には芸術作品と紐付けているため。2014/03/03

roughfractus02

0
遊歩者は夢から覚める夢を見ないために突き放されるような強烈な夢を求める。「肝腎なのはまさしく最新のものにおいて世界の様相がけっして変貌しないということである」。時間の地獄とされる現代をぶらついても、その退屈さから労働の本質を捉えたがる哲学話に耳を貸す必要はない。遊歩者がぶらつくのは強烈な夢に見られたいからだ。遊歩者が歩く街路には賭博と娼婦とその情念の開放から新世界を構築した「反歴史」の夢が隅々まで満ち溢れている。著者の断片的記述はそれら夢のスパークの残響であり、それらは時間の直線に並ばない反歴史なのだ。2017/02/14

まりん

0
19世紀中葉から末期にかけて資本主義にパリが飲み込まれる過渡期に、あくせく働く群衆を横目に気ままに生きる遊歩者を、20世紀からベンヤミンが断片を通して振り返る。日本では高等遊民とも呼んだ彼らであるが、近現代のヨーロッパ文学が実存主義的問いを投げかけた背景をここに見ることが出来る。街の中を悠々と歩き思索を巡らせた遊歩者の時代を、ベンヤミンが懐かしんでいるようでもある。20世紀に入るとパリの街は更に忙しく動き回るようになり、とても遊歩など出来る様相ではなくなった。プラハから訪れたリルケが恐怖を覚えた程である。2018/01/17

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