岩波新書
戦争で死ぬ、ということ

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  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310266
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0236

内容説明

戦争はリアルに語られているだろうか?「大量殺人」の実態と、そこから必然的に生み出される「人間の感情」が見失われてはいないか?自らも戦後生まれである著者が、自らの感性だけを羅針盤として文献と証言の海を泳ぎ、若い読者にも通じる言葉で「戦争」の本質を伝えるノンフィクション。未来をひらく鍵がここにある。

目次

第1章 大阪大空襲―戦争の実体からの出発
第2章 伏龍特攻隊―少年たちの消耗大作戦
第3章 戦時のメディア―憎しみの増幅マシーン
第4章 フィリピンの土―非情の記憶が伝えるもの
第5章 殺人テクノロジー―レースの果てとしてのヒロシマ
第6章 おんなと愛国―死のリアリズムが隠されるとき
第7章 戦争と労働―生きる権利の見えない衝突
第8章 九月のいのち―同時多発テロ、悲しみから明日へ

著者等紹介

島本慈子[シマモトヤスコ]
1951年10月大阪市に生まれる。1974年3月京都府立大学文学部卒業。「月刊奈良」「読売ライフ」編集部を経て、2001年フリーに。現在、ノンフィクション・ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とくけんちょ

43
戦争は残酷なもの、その当たり前の事実をあらためて突きつけてくれる。それでも、人間には立ち上がらなければならないときがある。未曾有の大虐殺を受けた日本、その経験、歴史をもつ国民が発する声のもつ意味は大きい。2023/12/09

James Hayashi

33
ノンフィクションライター、06年著。戦争物を読んでいれば、大体カバーできているが、下記の点は知らなかった。小田実の言葉を引き、1945年8月14日に大阪で魔弾なく爆弾が投下されたが、それと同時にビラが撒かれたという。それには「戦争が終わり、お国の政府は降伏して…」と。何のために投下された爆弾なのか?また731部隊は有名だが南太平洋の孤島で日本軍による毒ガスによる人体実験も行われていた。9.11同時多発テロで日本人も犠牲になったが、未だ遺体が見つかっていないなど痛々しい。2019/05/06

501

16
戦争を知らない世代のために、同じく戦争を知らない著者が戦争を調査してきて見出した本質を伝える。「殺さなければ殺される、その発狂状態に入るのが戦争」という言葉が象徴するように 戦争は日常の延長にあるのではない。日常とはパラダイムが異なる。本書は戦争配下にある人間の心理に踏み込んでおり、一旦戦争になれば、そうならざる得ない心理状態となるからこそ、戦争は行ってはいけないということがわかる。戦争がもたらす悲しみを忘れてなならない。戦争を美化、肯定するあらゆる言葉は決して受け入れてはならないと改めて思う。2022/05/17

coolflat

15
伏龍特攻隊(機雷を棒の先につけて持ち、潜水服を着て、海底に待機する。敵艦船が来たら、その棒を艦底に突き上げて爆発させるという特攻)や神風特攻隊、風船爆弾、原爆製造に必要なウラン採掘、毒ガス製造...。現在の人たちは、戦争を前線の兵隊だけが戦うものと思いがちで、どこか戦争を人ごとのように感じている。しかしやはりそうではない。一度戦争が始まってしまえば人ごとではいられない。全ての国民が参加させられる。それが戦争だ。少年少女たちが特攻要員になったり、兵器開発に駆り出されたり、そういった別の面の戦争が見えてくる。2017/12/24

のの

7
戦争を体験していない世代に戦争がわかるはずがない、と言い切ってしまうのは簡単である。戦争を体験した世代とそうでない世代の溝は深い。しかし本書はそれを飛び越えるものだと思う。戦争は殺し合うことだ。殺された人には家族も友達もいるだろう、自分と同じように。本書はアジア太平洋戦争から9.11テロ、イラク戦争をさまざまな視点(労働者、メディア、女性など)から切り込んでいる。とても読みやすい文章なので、ぜひ多くの方に読んでもらいたい。2009/03/31

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